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筆 者: 濱 田 純 逸
●08月27日 水曜
こんなに別れが悲しいなんて思ってもいなかった。寝る時間になって、キャシーが明日はもう会えない【注119】と言いに来て、Good
byと最後につけ加えた。どうしてSee you againと言ってくれなかったんだろう、だきかかえてGood byなんて・・・。なんだかもう一生会えないような気がする。帰りたくないよー。まだ心残りがいっぱいで、まだ話したいことがいっぱいで・・・。本当に最後のお別れなのかもしれないのに何も言えなかった。Good
byも言えないし、ノートに書いているお礼の言葉【注120】も言えなかった。ただ黙ってつっ立って、胸いっぱいでツーンとして。何やってたんだろう。ずっと前から日本に帰る時はちゃんとお礼を言わなきゃいけないって考えていたのに。鈍感な私がうらめしい。あんまり急で、心の準備ができてなかったんだもの。また明日は子供達にお別れしなくちゃいけない。どうして私だけ二度も悲しまないといけないんだろう。あんまりだ。スーツケースに荷物をつめこむ時には何も考えずに楽しくやってたのに。本当にこれでさよならなのかなー。まだ信じられない。明日もあさってもまた会えるような気持ちでいる。本当にそうなったらどんなにいいだろう。明日、子供達の顔をどんなにして見たらいいだろう。いつものように、笑って明るくふるまおう。それで最後のお別れの時は、絶対に、絶対に、See
you again。 Good byなんて言わないぞ。
注119 |
出発日の朝早く仕事に出かけるため、前日の夜にお別れすることになったと思われる。このようにして別れの最後の夜を過ごすことになる参加者は多い。実際に別れに際して参加者は何かを言えるものでもなく、ほぼ全員の生徒が、ホストファミリーに抱きついて、しゃくりあげながら涙を流すのが精一杯である。もちろん、話すことは必要ない世界ではある。
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注120 |
センターから渡されるガイドブックに、別れる際の感謝の表現が英語で掲載されている。そのことに触れたものである。
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登 場 人 物 |
中学二年生のホームステイ参加者/鹿児島県出身 |
田中みゆき |
ホストファーザー/ワシントン州シアトル市在住 |
ジム アレトン |
ホストマザー |
キャシー アレトン |
7歳の双子の姉 |
ラナ アレトン |
7歳の双子の妹 |
キム アレトン |
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