注031 |
日本の就寝時間が午後11時〜12時頃とすれば、アメリカの家庭の就寝時間は、午後9時〜10時頃である。また、起床時間を日本が午前6時〜7時頃とすれば、アメリカは午前5時前後である。彼女が午後10時までと言われたのは、一般的な価値観であり、お世話している子供だからと言う特別な配慮からなされているものではない。宿題があろうが、用事があろうが、それらには関係なく、子供は遅くとも夜10時までには寝なければならないというのが、アメリカ社会通念上の親の価値観なのである。 |
注032 |
小さい時からの幼ななじみ。 |
注033 |
彼女の滞在したシアトル近郊は日本の北海道の北に位置しており、夏時間も採用していることもあって、日が暮れるのは時間的には遅くなる。
|
注034 |
先述したお弁当だけでなく、アメリカの食事は日本と比較すると、極めて質素であり、単調なものが多い。それは食材が少ないことからも言える。特徴的なことは、加工食品が多く、生鮮食品が少ないことである。また、高カロリー、高脂質のものが多い。事前学習会で食事に関して事前に説明しているものの、ほとんどの参加者は現場で目の当たりにして、それを実感することが多い。「百聞は一見に如かず」とはよく言ったもので、いくら口頭で説明しても、実感を伴わない情報は、情報としての価値を有していないようである。 |
注035 |
普段は何も考えず、人にとって慣れ親しんだ環境は、全てあたりまえのことである。子供が勉強するのも、父親が働き、母親が家事をすることも何の疑問なく、受け入れてしまう。その環境に育ったものには、それが絶対的であり、それが全てである。ところが、異文化でホームステイして家庭生活を送れば、自分の日本の生活環境を相対的に見ることができる。これまであたりまえだと思っていたことが、そうではなくて、また異なる方法や現実があることを思い知らされる。ここで彼女がつぶやく「文句を言って悪かったと思う」という一言は、日本でいくら自分の生活環境の豊かさを周囲のものから諭されても、おそらく決して出てこない一言であろう。「親に感謝しなさい」といくら親が言っても、本人にその自覚がなければ無理なのであって、この一言もホームステイならではの述懐の一つであろう。 |
注036 |
「家に帰ったら……」という前提で、帰国してからの決意や決心を述べるものがこれから随所に散見される。ここではアメリカでは満たされないものに対する、単なる帰国後の願望であるが、これが日が進むにつれて、異文化で触発を受けたものやことに対して、その触発を受けて帰国後どのように善処するか、向上していくかという、前向きな姿勢を綴るものが多くなっていく。私はこの姿勢が醸成されることが、異文化に触れる最高の価値の一つであると考えている。だからこそ、若ければ若いほど異文化に触れる価値が、より効果的であると考える。
|