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筆 者: 濱 田 純 逸
●08月17日 日曜
昨晩マシュマロを焼いて食べてから、すごく楽しい気分【注078】になれた。とろっとしてあまいマシュマロが、すごく気にいってしまった。また食べたいなあ。今日もまた山の中をドライブするのに酔ってしまった。写真をバチバチとるつもりだったのに、雨は降るし、結局湖も覚えてしまわなければならない。どうしよう。まだ半分もとっていないぞ!! 毎日一本ずつとるつもりでがんばらなくっちゃ。ホストファミリーから突然のプレゼント。アイルランド【注080】の民族衣装。ししゅうのついているエプロンみたいな上着だ。うれしくって四回ぐらいお礼を言った。アメリカに来てアイルランドの物をもらった人も少ないだろうなあ。ワァーイ。私ってこんなに単純だったかな【注080】。昨日は一日中考えこんでいたのに……。久々に質問をした。「どんなにして耳に穴をあけたの?」ずっと不思議だったんだ。初めて見た時は信じられなかったくらいだもの。答にもまたびっくり。「イアリングのとがったところでプチュッ。」だって。「ものすごく痛かったでしょ?」聞いてみたらなんかわからんけど、神経の間を通すから、全然痛くないんだそうだ。本当かな。車酔いを防ぐ薬はよくきくけどねむくてしようがない。見学の時は我慢して飲まない方が身のためだ。今日なんか何時間眠っただろう。それでも疲れてまだ眠い。8月17日といったら日本では宿題がたまってたいへんな時期なのに、あせったって何もできないんだもんなあ。こんなこといったらおかしいけど、すごーく勉強がしたい【注081】このごろ。
注078 |
昨日の8月16日を最後として、つまり、この8月17日以降、急転直下、これからの日記の至る所に安らぎと安堵が感じられる。この日曜の日記には大きな山を越えてたどり着いてきた人が抱く、精神的に吹っ切れた安穏を感じるのは私だけであろうか。ホストファミリーとのやりとりも、本当の家族のような息吹が感じられる。あたかも別人と思えるほどの急変である。
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注079 |
ホストファミリーはアイルランドの出身だったらしい。 |
注080 |
ここでの喜びは、アイルランドのものをプレゼントされたことからくるものより、昨日までの苦悩が雲散霧消して、心が解放された喜びから来るものが大きいと言うことが、前後の文脈からよく理解できるところである。
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注081 |
ここにもまた、「帰ったら」という前提であろう、積極的で、主体的な意思が見られる。特に、その対象が学業であり、「すごーく勉強がしたい」という気持ちの表現には少々、中学生の日記を読むものとしては戸惑いを覚える。既に日本を離れて3週間近く勉強らしい勉強をしていないことへの反動が、そのような発言につながるのであろうか。 |
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登 場 人 物 |
中学二年生のホームステイ参加者/鹿児島県出身 |
田中みゆき |
ホストファーザー/ワシントン州シアトル市在住 |
ジム アレトン |
ホストマザー |
キャシー アレトン |
7歳の双子の姉 |
ラナ アレトン |
7歳の双子の妹 |
キム アレトン |
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