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筆 者: 濱 田 純 逸
●08月14日 木曜
我が家に手紙を書いた。三通目になる。またもどってこないように、しっかりボンドでとめよう。やっぱり食べ物のことを書いてしまう。こんどのはなんとか文章になっていたみたいだ。このごろ日がたつのがはやいのも、楽しいからかな? 立石さんの足は、のみに【注065】かまれた後でいっぱいだった。あんなにひどいなんて知らなかったからびっくり。私も二ヶ所ぐらいかまれているようだ。いっしょの状態だったもの。かゆみどめの薬を持ってきて、本当によかったとつくづく思う。さすが兄ちゃんは気がきくなあ。女子が集まる【注66】と、食べ物を協力してだしあうか、日本をなつかしむかになってきた。みんな「はやく帰りたい」と言う。つかれきった顔で。山下さんなんかホストファミリーが大きらいな様子【注067】。金持ちだけど、わがままなんだそうだ。私のホストはそれにくらべてすばらしいのかな。お金はないけど、すごく気を使ってくれている。私がさかなつりが好きだと言ったら、明日さっそく連れていってくれるのだそうだ。ワーイ。一日中だから学校休んで、すごい厚着をしないといけない!という。やっぱり船の上は予想以上に寒くなりそうだ。どんな魚がとれるのかな?たのしみ。いつもベッドの上【注068】で書くものだから、指がいたくて、いたくてしょうがない。字もみだれっぱなしだ。
注065 |
アメリカの家庭では家の中に入るのも土足のままである。また、床にはフカフカのじゅうたんが敷き詰められていることが多い。そして、ほとんど全ての家庭で犬や猫などのペットが飼われているといっても過言ではない。だから、案外気が付かないことであるが、じゅうたんの中はノミやしらみの温床であることは間違いない。毎年、ノミやしらみにかまれたという参加者が出てくるのもこのような背景がある。
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注066 |
先述したように、ホームシックは女子生徒においては伝染する。これは過去において現場で多くの事例がある。ここで指摘されているように、女子参加者は毎日顔を合わせるたびに、このような話題になるのだろう。でも、このグループにホームシックの生徒がいるとの報告は引率教師から受けていないし、私自身も期間中、何回となくこのグループの活動に同行したが、現地のグループ責任者からもその指摘はなかった。ということは、個々の生徒のホームシックではなく、日本に帰りたいという話題が多かったものと思われる。
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注067 |
参加者とホストファミリーとの間で様々な相性があり、確執が生まれることもあるが、このようにホストファミリーが大嫌いと公言する事例は、圧倒的に女子参加者に集中する。男子参加者でホストファミリーとの人間関係で問題が発生する事例は、極めてまれである。
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注068 |
米国家庭の子供部屋には、勉強机というものはまずない。子供が自宅で勉強する場合は、台所のテーブルと相場は決まっている。この日記も毎日、寝る前にベッドの中で書かれたものである。
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登 場 人 物 |
中学二年生のホームステイ参加者/鹿児島県出身 |
田中みゆき |
ホストファーザー/ワシントン州シアトル市在住 |
ジム アレトン |
ホストマザー |
キャシー アレトン |
7歳の双子の姉 |
ラナ アレトン |
7歳の双子の妹 |
キム アレトン |
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