8月下旬に出発し、アメリカの一般家庭にホームステイしながら、米国公立高校交換留学生として、約10ヵ月間米国公立高校に在籍し、異文化交流、相互理解を行いアメリカの高校生と一緒に学習し、単位を取得するプログラムです。

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留学参加者
■ 英語学習に役立つホームページ
■ Page for 39th Students

●高校留学における危機管理

これは、春の2次オリエンテーションで行われる「危機管理」の授業(6時間)で、使用される教材からの抜粋です。

著作権者:株式会社 南日本カルチャーセンター
文 責:M 田 純 逸

 
第1章 高校留学の危機管理−総論

A 危機管理とは何か

 高校留学における危機管理とは何か。 それは、自分自身や、自分自身の身近な周囲で起ころうとしている、もしくは起こっている、もしくは起こってしまった事柄を、危機としての視点から、自分自身の問題として、どう理解し、どう分析し、どう判断し、どう対応し、どう行動していくかという一連の自己管理の有り様を言う。
 ここでの危機管理は、「自己の生命の安全確保」をもって究極の目的とし、「他者の生命の安全確保」との係わりにおいては、顧慮されていない。 つまり、起こりうるあらゆる危機を、すべて自己防衛的に考えることとし、社会正義の遂行のために、留学生が危機に積極的に関与することなどは、一切、前提としていない。 ここで取り扱う危機管理においては、主に、肉体的危機管理と精神的危機管理という二つの概念に分けて考えてみる。 肉体的危機管理とは、身体的な損傷や生命の危機を伴う、自己への攻撃や危害をどのように予知し、それらの攻撃や危害を防御し、肉体的、生命的危機の状況から、どのように自分自身を回避、避難させるかという一連の行為である。 精神的危機管理とは、精神的な苦痛や不安やストレスを伴う、精神衛生上の、自己への攻撃や苦悩、危害をどのように予知し、それらの攻撃や苦悩や危害を防御し、精神的危機の状況から脱出するかという一連の行為である。


B 危機認識と予知

 何をもって危機と捕らえるか。 個人によって、危機を自覚、認識する視点と視座は異なっている。 起ころうとしている事柄、実際に起きている現実、過去において起きてしまった結果などのいずれにおいても、これらの事象を、もし、個人が「危機」と自覚、認識しえないのであるなら、危機管理という一連の行為は、全くもって始まり得ないのである。 だから、危機管理は、個人が危機と自覚、認識することから始まるものであり、同じ事象でも、それを危機と自覚、認識する者もあれば、自覚、認識しない者もある。 その結果、危機と自覚、認識する意識の高いものほど、危機管理能力が優れている可能性があるといえる。 危機であると自覚、認識する意識の低いものほど、すべての事象を、危機とは遠く離れた視点で捕らえることとなるため、危機管理能力が発揮されることは少ないといえる。 危機管理能力が高ければ、危機的状態になる前に予知し、将来の危機を事前に解決することもできる。 すなわち、現在、直面している現実が、次にどのように展開し、発展して、どのような将来につながって行くのかを適確に予測し、それらの予測の中に、危機を察知する能力を磨くべきである。 そうすることによって、自ら危機的状態を回避できるのである。 その意味においては、危機管理は「危機を予知」することが、その最善の方法であると言えるかもしれない。
 しかしながら、予知できない突然の危機というものも多い。 突発的な危機であるからこそ、狼狽し、平常心を欠き、冷静で適確な判断と行動に移ることができないのであろうが、事件や事故を筆頭とする、そのような突発的危機よりも、高校留学の現実からすれば、もっと身近な日常生活にある、肉体的、精神的危機を考えることの方がより重要で、実際的と思われる。 すなわち、異文化という、ほとんど未知の日常生活にある価値観に当惑し、それによって生まれる錯誤と齟齬感、困難や苦悩、そして、そこから発生する肉体的、精神的危機が、はるかに現実的問題である。 異文化で生活することは、「文化的戦場」の生活であり、異なることを常態とするその環境では、精神的、肉体的疲弊もまた、外国人の常態だからである。
 そのような意味において、高校留学における危機管理は、あらゆる日常的危機を事前に学習し、討論し、自らの行動を客観的に、そして、冷静に見、判断する視点を養っておけば、数多くの日常的危機に遭遇しても、自らの力だけで、充分に克服していくことは可能であろうと思われる。 そして、危機を予知することも十分に可能となるであろう。


C 危機への対応/問題への対応

 前述したように、危機管理は、まず、事象を「危機」と自覚、認識することから始まる。 この場合、自覚、認識とはいっても、その度合いには、限りなく、個人的な認識の格差が生まれる。 大事なことは、適確で、冷静な状況把握に基づく認識であり、集積された事実に基づく確認である。 その方法は、客観的に、冷静に、多角的に、情報を収集することから始まる。 まず、これらの適確な情報収集に努めなければ、危機の自覚、認識が浅薄、かつ皮相的なものにしかならない。 そして、時には、間違った判断と行動に発展する原因となりかねない。 だから、危機に直面してパニックにならず、冷静に、多角的視点から、事実だけを収集することに努めるべきである。
 そして、その中で得た情報の集積を分析し、取捨選択しながら、危機回避の方法や危機脱出のための対応を、また数限りなく、考えてみることである。 その方法や対応の選択肢は、多ければ多いほど好ましいものである。 その多さは、情報収集の過程における多角性と比例しているといってもいい。 どうしても一つしか思い浮かばない方法や、これしか考えられないという対応は、その意味においては極めて危険である。 当然、多角的な情報収集と視点が欠落していると考えられるからである。 そして、数限りない選択肢を前にして、どの方法や対応を取るかを、慎重に、冷静に、考え、選択する作業に入る。 そして、得られた一つの決断に基づき、行動に移すのである。
 この行動の過程の中で最も大事なことは、修正であると考える。 自分が選択した決断に基づく行動に、最初から最後まで固執するのではなく、常に、その行動から得られる結果を、さらにフィードバックしながら、柔軟性をもって、その判断に基づく行動の結果に対応し、修正を試みる姿勢が必要である。 以上の一連の行動が、危機に遭遇した時に最も求められるものである。
 また、高校留学においては、この「危機」を「問題」や「困難」と置き換えてみることもできるし、その方が実際的であり、日常的であるのかもしれない。 すなわち、「問題」や「困難」が発生した時の対応や解決方法を、この危機に遭遇した時の対処方法と同様の視点で臨むこともできる。 つまり、「問題」や「困難」が発生した場合、危機への対応と同様に、次のような段階を取りながら、問題解決に対処するように心がけておけばよいのである。

問題発生(危機発生)------------------------------------------------問題認識(危機認識)
パニックにならず、冷静に、客観的に対応する--------------------------- 冷静と客観性
多角的な角度から、事実関係のみの情報収集に努める--------------------情報収集
集積した情報を分析し、問題(危機)の原因を複数仮定し、その解決(対応)方法を複数考える--原因と対策
数多くの選択肢から、最善と思われるものを決断し、行動する---------------決断と行動
結果を再考し、修正を加え、フィードバックしながら柔軟に対応する-----------修正
問題解決(危機回避)------------------------------------------------問題解決(危機回避)


D 在留届の提出

 実際的高校留学の危機管理の第一歩は、在外公館への在留届の提出である。 すなわち、日本人が外国に3ヵ月以上滞在する場合、該当する日本人は、滞在する住所を管轄している、日本の大使館、領事館に「在留届」という書類を提出する義務がある。 この書類の提出によって、在外公館は、該当する日本人の該当国における居住を知ることができ、その国での災害や事故、事件などの緊急事態発生の折に、情報提供や安否の確認や該当者の保護、連絡等の業務を遂行できるものである。 すなわち、海外に居住する日本人は、この在留届の提出をもって、在外公館からのサービスの提供を受けることができるのである。 慣れない外国において、自分の周囲で、何時、どのような問題が発生するか解らない。 在留届の提出が、唯一、母国である日本の行政のサービスを受ける方法となるのである。 長期の滞在先が決定し、移動した時点で、近くの在外公館にこの在留届を提出することを忘れないようにしたい。 提出方法は、郵送でも、ファックスでも受け付けている。 居住場所の変更や、記載内容に変更が生じた場合にも、速やかにその変更を行なう必要がある。 なお、在留届の書類は、各県の旅券を発給する課で入手できるし、外務省のホームページからも入手できる。


第2章 高校留学の危機管理−各論 

 ※以下は項目のみで、詳細は省略します。内容は、春の2次オリエンテーションで学習します。

(T) 肉体的危機管理

テロや戦乱や暴動への対処
災害
事件や事故からの回避
危険現場と野次馬根性
不純異性交遊
セクシャルハラスメント(性的虐待)
マリワナ、覚醒剤などのドラッグ
喫煙と飲酒
交通安全に関わる危機管理
銃社会の危機管理
病気やけが(健康管理)
自宅での危機管理
学校での危機管理
ミッシングチルドレン
緊急事態の自己管理
食事の管理
パーティーでの注意
警察官への対応
金銭管理の問題性
同性愛者
自由と責任
訴訟
その他の危機管理
 

(U) 精神的危機管理

学業成績の悩み
ホームシックと孤立感や疎外感
対人関係(ホストファミリー/友人/先生やACなど)
欲望の自己管理
服装、格好、化粧の延長
英語力の悩み
情緒不安定と精神的ストレスの管理
不適切な発言

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