ホームステイとは何なのか。ホームステイでは何が得られるのか。40年以上にわたって、国際交流教育事業に関わってきた南日本カルチャーセンターによるホームステイの現状と提言です。

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■ 1 変わりゆくホームステイ
■ 2 変化の背景
■ 3 ホームステイプログラムと
    ホームステイツアー
■ 4 ホストファミリーへの影響
■ 5 一般的な参加者の現状
■ 6 参加者と主催者に求められるもの
■ 7 異文化では、始めにトラブルありき
■ 8 最後に

執筆者: 南日本カルチャーセンター 代表取締役社長  濱 田 純 逸

■ 8 最後に

 先述しましたように、異文化での生活は「文化的戦場」です。そして、戦場に赴くのであれば「相手を知る」ことが必要です。それが長期間も続く文化的戦場ならば、「相手を知る」という「事前学習」が、最大の「論理武装」になると気づくはずです。いくら「異文化学習や国際理解」を目的とした「ホームステイプログラム」であっても、参加者が事前学習やプログラム期間中の指導において、それに応えられる努力や実践を行なわなければ、結果的に本来の目的を達成することはできないということです。すなわち、どのような立派な計画の「ホームステイプログラム」に参加しても、観光旅行としての結果しか残らないということもあるということです。

そういう意味では、ホームステイ実施団体がよく参加者に言っていることですが、「ホームステイは観光旅行ではない」という言葉は、大変な間違いであることに気が付くはずです。ホームステイは観光旅行にもなれば、異文化学習や国際理解の実践の場にもなります。本来のホームステイの目的からすれば、「ホームステイは観光旅行であってはならない」という表現が適切です。そして、この二つの意味の基本的相違を、すべての参加者と保護者、そして、国際交流事業団体やプログラム主催者にも、正確に理解してほしいものです。

出発の際、親子が駅のターミナルで抱き合って、泣いて別れた40年前の姿は、「かわいい子には旅をさせよ」と、その昔、泣いて奉公に行かせた親の子どもに対する気持ちと、私には重なりあって見えました。それが私の考える、日本におけるホームステイプログラムの原点でもありました。「異文化生活」という言葉の中に隠された「厳しさ」、それが、異国の、異言語下の、他人の家庭で過ごすホームステイの中に形を変えた、まるで現代の「奉公」的なものとして存在しております。

私は、真のホームステイとは、学生にとって「環境に適応しなければならない不自由さ」「言葉を自由に使えないいらだち」「日本の家族や両親と会えない孤独感」「他人の家庭で生活する不安」などの幾多の困難が待ちかまえており、それらの苦難をどのように乗り越え、克服していく過程が、ホームステイの最も価値の高い側面であるとの認識を持っております。それだからこそ、保護者の皆様は、子どもを参加させてみようと考えるのではないかと思います。決して、「ホームステイツアー」やホームステイという名の「観光旅行」に対して、参加させようと考えているとは思いません。プログラムを通して、保護者の皆様は何らかの成果を主催者に求めていると思っております。そしてすべてのホームステイ主催者は、このことに正面から応え、はっきりとした指針と理念を表明する責任があるのではないかと思っております。

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