11月27日(月)
November 27
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夜明け前の午前6時半ごろ、一週間前にホストファミリーとの初対面を果たした、ショッピングモールの駐車場に、オーバニーでの思い出がパンパンに詰まったスーツケースを、ホストファミリーの車に乗せ、参加者の皆さんが集まりました。ハグや握手をして別れを惜しむ姿は、出会ってわずか一週間の関係とは思えないほどに、親密で愛情豊かなものでした。出発予定の5分前には全員の荷物を積み終わり、ホストファミリーに手を振って、オーバニーを後にしました。
朝の通勤ラッシュと重なるため、ポートランドに向かうまでの渋滞が心配されましたが、さほど大きな影響はなく、午前9時前にはポートランド空港に到着することができました。ここから、先日のさよならパーティーにも来ていた、MNCCジャパンホームステイ奨学生のシャリスも一緒に、日本を目指します。それぞれ、マイク先生や航空会社の方のサポートをいただき、機械での搭乗手続きを行ないました。預ける荷物の重量制限は50パウンド。ほとんどの方が、ここに来るときよりも、スーツケースは少し重くなっていたようでしたが、重量オーバーをすることなく、無事手続きを終えました。
ここまで参加者のお世話をしてくださり、プログラムを円滑に進めてくださったマイク先生に、参加者の寄せ書きをまとめた色紙を贈呈しました。わかりやすい英語で、時には日本語で、様々な知識を披露してくださり、温かい心で迎えてもらえたことを、心から感謝したいと思います。
マイク先生は、ひとりひとりハグをして見送ってくださいました。セキュリティーゲートを抜け、搭乗口まで移動します。アメリカには出国審査がありません。搭乗口を確認し、30分ほどの自由時間を設けました。手持ちのコインを消費すべく、お菓子や水を買ったり、お土産を見て過ごしました。そして、午前10時半頃、搭乗が始まりました。機内から見るオレゴンの風景は、曇り空の下でも木々の紅葉が鮮やかで、悲しい気持ちを少し明るく照らしてくれるような、優しいものでした。8日間の滞在でしたが、すでに懐かしさも感じさせます。そして、定刻通りに飛行機は離陸しました。
日付が変わり、11月28日午後3時半頃、成田空港に到着しました。入国審査等の手続きを経て、羽田空港行きのリムジンバスに乗ります。車内では、約11時間のフライトで皆さんお疲れの様子でした。羽田空港で、またスーツケースを預け、搭乗までの間に、夕食をとります。お寿司やお蕎麦など、純日本のメニュー、そしてお出汁の香りに、「帰ってきたなぁ」とホッと安心しました。
ここで、宮崎から参加のお二人とはお別れです。渡航前のオリエンテーションから、交流を深めてきた参加者の皆さんは、まるで旧友のようでもあり、楽しい時間を一緒に過ごした仲間としての絆が生まれたように感じます。また近日中に、同窓会(反省会?)を開くことを約束し、それぞれの帰途につきました。
鹿児島空港に到着したのは、午後9時過ぎ。皆さんがご帰宅できたのは、深夜にかかるころだったかと思います。本当に、短いようで濃密な、長いようであっという間の10日間でした。シニアホームステイ第一期生の8名は、全員が、ホストファミリーとの交流、異文化学習、英語力向上などの目標達成に勤勉に励む方々でした。現地受入校のスタッフ、私たちを引っ張ってくれたマイク先生、ホストファミリーの皆さん、そして何より、参加者の皆さんのお陰で、プログラムが無事終了したことを心から感謝したいと思います。今回生まれた参加者皆さんのご縁が、末永く続きますように。
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11月24日(金)
November 24
【movie1】
【movie2】
【movie3】
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午後6時、さよならパーティー会場である学校に、参加者とホストファミリーの皆さんが集まりました。それぞれ、ホストファミリーの家で作ってきた日本食を持ち寄る“Potluck(ポットラック)”と呼ばれる形式のパーティーです。ホストファミリーの方々も、サラダやデザートなどを持ち寄ってくださいました。
このプログラムの関係者以外に、今夜のパーティーには招待客が二組います。一組は、MNCCジャパンホームステイプログラムで本年度の奨学生に選ばれた、シェリス・ホワイトさん一家です。シェリスは、シニアホームステイのグループと同じ飛行機で来日し、鹿児島県出水市で約2週間のホームステイをすることになっています。もう一組(1名)は、トミコさんという日本人女性です。トミコさんは、戦後まもなく米国人男性と結婚し、24歳でここオーバニーにやってきました。Mike先生が数ヶ月前にトミコさんと知り合い、良い機会だからと、私たちに紹介してくださいました。すると驚くべきことに、トミコさんは鹿児島市のお生まれであることが判明し、ぜひパーティーにも参加していただきたいと、ご招待したのです。20年ほど前にご主人を亡くし、一人暮らしをされているトミコさん。シニアグループの皆さんとの出会いを、「本当に素敵。もっと早く知りたかった。月曜に帰ってしまうのが残念。」と、とても喜んでくださっていました。
Mike先生の挨拶でパーティーが始まります。まず、それぞれ参加者の皆さんが、どんな日本食を作ったのかを、一人ずつ英語で紹介します。「からあげ」「しんこだんご」「カレーライス」「いこもち」「冷やしそうめん」「おにぎり」「磯辺焼き」「レタス巻き」「コロッケ」「鶏の照り焼き」「肉じゃが」と、日本の家庭の味が並びます。皆さん、日本から持参した浴衣や前掛け、割烹着などを着て、雰囲気は抜群です◎ホストファミリーと一緒に、美味しい食事を取りながら、会話も弾んでいる様子でした。
ずらっと並んでいた料理がなくなりはじめた頃、催し物に移ります。まずは、茶道の披露で「おもてなし」です。日本文化を紹介するブースでは、書道で名前を書いてあげたり、折り紙や日本のおもちゃ(けん玉等)を教えてあげたり、手作りの暦で干支を教えてあげたり、浴衣を着せてあげたりと、目白押しでした。漢字で名前を書いて差し上げると、皆さんとても喜んでいらっしゃいました。ハーモニカ演奏の発表で、アメリカ国歌が流れると、アメリカ人の方々が席を立って胸に手を当てると行為を自然にされている姿が、とても印象的でした。催し物の最後には、ホストファミリーとの自宅でのコミュニケーションの一環として、到着後から各自ホストファミリーと練習してきた、童謡「チューリップ」を全員で歌いました。また、ご招待したトミコさんに敬意を表して、「ふるさと」を歌いました。トミコさんは、涙を浮かべながら、一緒に歌ってくださいました。
会の終わり、一人ずつ、ホストファミリーへの感謝の気持ちを伝えます。手元の英文メモを見たり、暗記した言葉を思い出しながら、もしくは、自分の知っている英単語を繋いで、自分の気持ちを言葉にしていきます。参加者の皆さんは、英語力の低さや発音の悪さを気にして、「申し訳ない気持ちでいっぱい」と仰いますが、ホストファミリーにとっては、母国語でない言語を使って気持ちを伝えようとするその姿勢こそが、何よりも嬉しいものだったと、参加者のスピーチを温かく見守るホストファミリーの表情から読み取ることができました。全員のスピーチが終わり、大きな拍手が会場を包みました。全員で集合写真を撮影し、会はお開きとなりました。
予定時間を大幅に過ぎてしまいましたが、どのホストファミリーも招待客も去ることなく、「とても良い時間を過ごせた」と声をかけてくださいました。明日は日曜日。オーバニーで過ごす最後の一日です。かけがえのない一分一秒を、大切に過ごしてほしいと願います。
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11月24日(金)
November 24
【movie】
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今日は、“Oregon Coast”という海岸沿いの観光地を目指す、終日研修の日です。到着以降、午前中はぐずついたお天気が続いていましたが、今日は早朝から爽やかな青空が広がっており、気温も14〜16℃と、とても穏やかな一日でした。11月が最も寒い時期であるこの地域で、こんなに温暖な日は珍しいと、現地の方たちが驚くほどのお天気を終日研修の日に引き当てるなんて、とても幸運なグループです。
午前9時出発予定でしたが、ホストファミリーとの行き違いがあり、1人遅れて合流したため、一時間ほど遅れての出発となりました。ところが、Mike先生が予定していたルートとは別に、新しいフリーウェイが出来ており、海岸線までの移動時間が大幅に短縮できたことで、この遅れを取り戻すことができました。またしても、グループの運の強さを感じます。
フリーウェイとはいえ、カーブの多い山道を、車は時速100キロほどで走っています。車社会のアメリカ。老若男女問わず、運転は得意とする方が多い印象です。一時間半ほど走り、山道を抜けると、ニューポートという町に入り、眼前に太平洋が広がります。青い空に青い海。「オレゴンの冬=しとしと雨のどんよりとした天気」を覚悟していたのが、いい意味ですっかり裏切られました。美しい風景を見てほしいと、Mike先生が鉄筋の大きな橋(Yaquina Bay Bridge)を往復してくれました。
ここから少し北上した、“Devils Punchbowl”という景勝地でバンを降り、写真撮影をしました。パンチボウルとは、パーティーなどでフルーツポンチを出すときに用いるボウルを指し、波で出来た空洞(海食洞)の様子が似ていることから、名づけられたそうです。絶壁から見下ろす太平洋の波はとても荒く、「悪魔の」という冠がつくのも頷けます。次に、“Otter Crest State Scenic Veiwpoint”というところへ移動し、展望台から雄大な海原を眺めます。崖の先端にあるギフトショップの白い窓枠から見る景色は、まるで絵画を切り取ったような美しい風景でした。
ちょうど正午になるころで、お昼ご飯を食べるために、リンカーンシティという町に向かいます。ここには、“Mo's(モーズ)”という、クラムチャウダーで有名なレストランがあり、観光客で溢れていました。今日24日は、アメリカのカレンダーでも平日ではありますが、祝日と週末に挟まれた平日ということで、ほとんどの学校や会社が休暇としているそうです。ここでも、日本とアメリカのライフスタイルの違いを思い知らされます。レストランに入り、席に案内されるまでの間に、メニューをじっくりと読み込みます。アメリカの飲食店のメニューには、あまり写真が載っていません。料理に含まれる材料や調理方法、つけ合わせ等まで、すべて文章から読み取らなければならないのが、少し大変なところです。Mike先生オススメということもあって、皆さん付け合せにはクラムチャウダーを頼み、メインディッシュには、ハンバーガーやサンドイッチ、小エビのフライなど、好きなものを選びました。食事代は、Mike先生がすべて支払ってくれたため、御礼を言い、チップの計算をしなくて済んだことに胸をなでおろしました。
砂浜には、犬を連れた家族やカップルなど、多くの人たちが、この素晴らしい天気を楽しみながら、のんびりと散歩をしていました。参加者の皆さんは、「まるで夢をみているよう」と、日本との時間の流れ方の違いを感じていたようでした。
感謝祭の翌日は、“Black Friday”と呼ばれ、全米でクリスマス商戦が始まる日でもあります。参加者の中には、フライングで始まる安売りに行くため、深夜にホストファミリーと大型スーパーへ行ったという方もいました。リンカーンシティにあるショッピングモールで、私たちもブラックフライデーの雰囲気を楽しみます。時間はあまり長く取れませんでしたが、約1時間ほど、たくさんの店が並ぶ広いショッピングモールで過ごしました。皆さん何を買っていいものか悩んでいた様子でしたが、最後にMike先生が教えてくれた、オレゴン州生まれのチョコレートショップ“Harry&David”では、試食をしたり、珍しい食品を見たりして楽しむことが出来ました。
帰り道の途中、時間に余裕があったため、“Spirit Mountain Casino”というカジノに、20分だけ立ち寄りました。中にはデジタル式のスロットマシーンがたくさん並んでおり、休暇を楽しんでいる人たちがたくさんいました。参加者の何名かが、1〜2ドル程度を挿入して挑戦していましたが、いまいち遊び方が分からず、適当にボタンを押していると、そのうちの1人がなんと大当たり!2ドル費やして、9ドルゲット(7ドルプラス)でした。のめりこまないうちに、早々に切り上げて、ホストファミリーの待つオーバニーへ向かいます。
オーバニーの町に着いたのは午後5時半。とはいえ、日が暮れるのが早く、あたりは真っ暗で、三日月が浮かぶ夜空には、星が無数に広がっていました。終日、日が暮れてまでも、快晴が続いた奇跡のような一日となりました。明日の夜は、さよならパーティーが計画されています。日中に、ホストファミリーの台所を借りて日本食を準備します。お世話になったホストファミリーの皆さんに喜んでもらえるよう、力を合わせて頑張りたいと思います!
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11月22日(火)
November 22
【movie1】
【movie2】
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今朝も午前9時には全員集合し、授業が始まります。今日は、参加者のホストブラザーである留学生の日本人高校生が、アシスタントとして活動に参加してくれました。こちらの高校に通っているという彼の英語は、ネイティブと変わらないくらい流暢で、とても頼りになりました。
まずは、昨日一日で印象に残ったことを、ひとりずつ発表します。全体活動で行った高齢者施設がとても豪勢だったことや、ホストシスターと遊んだこと、ホストファザーが作ってくれた夕食がとても美味しかったことなど、みなさん英語を駆使して伝えることができました。次に、発音のレッスンをしました。“ear”“air”“four”“are”“were”等に含まれる、“r”の音は、日本人が苦手とする発音のひとつです。Mike先生の口元を注視しながら、発音を矯正していきます。Mike先生の発音を聞き取り、どの単語を発音しているのかのクイズも行ないました。交代に、参加者が出題者となり、Mike先生に答えてもらう発音クイズは、耳で聞く音と言葉で発する音の違いに、悩ませられます。Mike先生から合格をもらうまで、何度も繰り返し発声して覚えました。
休憩を挟み、二限目は、イディオム(慣用句)について学びます。“cheapskate(けち)”や“couch potato(テレビばかり観ている怠け者)”など、学校の授業では習わないような表現を知ることができました。実際に習ったイディオムを使って、文章を作る練習もしました。また、アメリカで一般的なヤードセール(ガレージセールやバザーのような催し)に関する少し長めの英文を順番に音読し、新しい単語や熟語を学びました。三限目では、英語でリアクションをとるときの言葉について学びました。“Rats!(しまった!)”や“No, kidding!(まさか!)”、“Wow!(わぁ!)”等、その言葉だけでなく、使える場面やそのイントネーションについても、例文を使いながら練習しました。英語の授業は今日が最後でしたが、Mike先生から、今日学んだ表現を会話の中で使ってみるようにという宿題が出されました。
途中、日本へ行ったことがあるというアメリカ人学生が、挨拶に来られました。日本のどこへ行ったのか、兄弟は何人いるのか、などの質問を、参加者の皆さんから積極的に英語で問いかけていました。間違いを恐れることなく、発言しようとする姿勢を、Mike先生も大変評価されていました。
ランチタイムになり、月曜日に行ったカフェテリアで、全員で昼食をとりました。二回目とあって、皆さん慣れた様子で、それぞれ食べたいものを購入していました。感謝祭前日ということで、メニューの中には、ターキーやパンプキンパイ等、伝統的な料理が並んでいました。
早めにランチを終え、バンに乗って午後の活動に出発します。Mike先生が皆さんを連れてきたのは、Mike先生の自宅でした。家の中に入ると、壁に“Happy Birthday”という飾りが。明日23日が誕生日の参加者の方のために、なんと、Mike先生と奥さんが、手作りのケーキを用意してくださっていたのです。ろうそくに灯をともし、みんなでお誕生日の歌を歌います。ろうそくを吹き消す前に、“Make a wish(願い事を唱えて)”というアメリカの習慣があることを教えてもらい、フッと灯を吹き消します。切り分けたケーキにバニラアイスを添えて、みんなで美味しくいただきました。
バンに乗って次に向かったのは、現地の消防署です。中を見学することは出来ませんでしたが、ロビーに展示されていた年代物の消防車の前で写真を撮りました。午後二時には、昨日の活動中に出会った女性のビクトリア調の住宅を見せていただく約束になっていたので、急いでそちらに移動します。家に着くと、昨日の女性が温かく迎えてくれました。家の中は、ハリーポッターに出てきそうな天井まで高さのある本棚があったり、裏庭に面する明るいサンルームがあったりと、年代を感じさせる間取りとなっていました。案内してくれた女性は、元々デザイナーだったそうで、8年前にこの家に移り住んでから、自分で手がけていたという内装は、新しいものと古いものが融合し、とても洗練された空間を作り出していました。台所の調味料の並べ方や、水周りの設備などは、「日本に帰ったら試してみたい」と思わせる、とてもおしゃれなお宅でした。
とてもフレンドリーで寛大な家主さんに見送られ、次に“Albany Carousel(カルーセル)”に行きました。カルーセルとは、メリーゴーランドのこと。最近オープンしたという、アルバニーの街でいま最も人気のあるスポットです。平日にも関わらず、大人から子どもまでたくさんの人が訪れていました。Mike先生にコインをもらい、参加者の皆さんも列に並びます。日本では、子どもの遊び物というイメージですが、アメリカのメリーゴーランドには、お年寄りも嬉しそうに乗っていました。このメリーゴーランドの動物たちひとつひとつが、すべて手彫りで作られているそうです。一体を作るために、カリフォルニアや東海岸まで輸送され、各地の職人による手作業にかかる時間は、合計7,000時間にも及ぶそうです。芸術品として、多くのアメリカ人に愛されていることが分かりました。童心に返り、皆さんとても素敵な笑顔を見せてくださいました。
一日の終わりは、“Hobby Lobby(ハ●ズマンのような手芸・工芸部品専門店)”や“Target(トライ●ルのような日用品販売店)”という大型店が入ったショッピングモールに行きました。一時間の自由時間で、それぞれお土産や食料を購入しました。午後4時に、ホストファミリーがモールへ直接迎えに来てくれ、解散となりました。
今日もまた曇り空のオーバニーでしたが、行く先々で貴重な体験をすることができました。明日は感謝祭で活動はお休みです。アメリカならでは、ホームステイならではの経験を堪能できることでしょう。皆さんが楽しく祝日を過ごし、体調を崩すことなく金曜日にまた元気に学校へ集まってくれることを祈ります。
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11月21日(火)
November 21
【movie1】
【movie2】
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今日も午前9時に学校へ集合し、Mike先生による英語の授業を受けます。今朝も窓の外は雨がしとしと降るどんよりとした空模様ですが、室内は参加者の皆さんの笑い声で溢れています。まずは、身体を使ったジェスチャーゲームをしました。昨日習った単語を中心に、無声の動きで表現し、他の人たちは何の単語かを当てていきます。一巡目は恥ずかしそうにジェスチャーをしていた皆さんですが、二巡目三巡目と、動きも大きくなり、とても楽しい時間となりました。Mike先生は日本語が堪能なので、時折日本語を交えたレッスンを行なってくれます。とはいえ、昨日よりも、授業中の日本語の登場回数は少ないように感じられました。皆さん、ホストファミリーと過ごす時間の中で、英語に対する反応にスピードがついてきたからかもしれません。
一限目を終えると、今日は課外活動のために外へ出ます。“Mennonite Village”という高齢者向けの施設へ行き、文化交流を行ないます。全員でバンに乗り、学校から約5分ほどの施設へ向かいます。到着すると、施設職員のJohnさんと、副所長のGeneさんが迎えてくださいました。まずは、Geneさんから、施設についての説明がありました。この施設は、“Continuing Care Retirement Community
(CCRC)”と呼ばれ、日本語では「終身介護コミュニティー」と訳されます。高齢者の方々が、介護や医療を必要としないうちに、コミュニティー内に建てられた住宅を購入、もしくはアパートの一室を借りて独立した生活を送りながら、掃除や剪定、食事の補助といったサービスを受けて暮らしているそうです。また、介護や医療が必要となったら、それらのサービスを在宅で受けたり、“Assisted Living”と呼ばれる集合住宅へ移り、個室に暮らしながら、上記のようなサービスを受けることができます。さらには、終日介護が必要な状態となったら、“Nursing home”という、いわゆる「老人ホーム」のような施設に住むこともできます。275エーカー(東京ドーム約24個分!)の敷地内には、これらの住宅施設の他、温水プールや24時間営業のフィットネスジム、レストランやボールルーム(社交場)も完備されています。Geneさんからの説明を受け、循環バスに乗って、施設を見学させてもらいました。住宅施設は、昨日見学した豪華なプレハブ住宅と遜色ない広々とした造りのものでした。二世帯住宅(同じ造りの家屋が二つ連なっている建物)の値段は、一軒あたり3000万円程とのことですが、それとは別に、月々50万円の管理費が必要だそうです。アパートも、一部屋の家賃が月600ドル、プラス管理費ということで、入居するにはそれなりの資産がなければならないようです。それでも、プールやジムなどの施設は、清潔でよく管理されており、老後こんなところに暮らせたら幸せなのかも、、、という声も上がっていました。
一時間ほどかけて見学をし、最後はレストランに入ります。施設内のレストランとはいえ、メニューから好きな食べ物を選べる形式で、手押し車や点滴を携えて入ってくる入居者も、食事を楽しみにされているようでした。ここで、参加者は二人ずつテーブルにつき、入居者の方々と一緒にランチを食べます。英語を使って日本のことをお話したり、折り紙や新聞紙、日本から用意してきたミニアルバムを駆使して、文化交流に挑みます。入居者の中には、日本に住んだことがある方や、親戚に日本人がいる方もいて、参加者の皆さんをとても好意的に受け入れてくださいました。食事をしながら、会話をしようと身を乗り出している皆さんの様子を、Mike先生もとてもうれしそうに見ていました。最後に、入居者の皆さんと一緒に集合写真を撮影し、施設をあとにしました。参加者の方が日本から用意していた、「笑う門には福来る」と筆書きした色紙をJohnさんへお渡しすると、「レストランに飾ります!」と、大変喜んでいらっしゃいました。
次に、“Dollar Store”へ行きました。日本でいう「100円ショップ」です。しかも、無税のオレゴン州にあっては、一ドルは一ドル!消費税がないだけで、とても得した気分になります。30分間という短い時間ながらも、日本の家族へのお土産やステイ先で使うための日用品を買うことができました。
続いては、“Victorian Houses”という、およそ築100年の家々が並ぶ通りを、車窓から見学します。すると、一軒の家の前で箒がけをしていた女性が、「売家に出そうとしているので、明日なら中を見学できますよ。」と申し出てくれました。明日また訪れることを約束し、学校へ戻ります。
教室に戻り、午後の英語の授業を一時間受けました。人物に関する単語を学び、同義語、反対語の表現を考えます。単語だけでなく、Mike先生が白板に書く文章を使って、主語述語が完成された文章を作って会話が出来るよう、練習しました。授業の最後に、さよならパーティーで作る日本食について、話し合いを行い、それぞれの役割分担を確認します。まだプログラム二日目ですが、あさっては感謝祭で学校はお休み、金曜日は終日研修なので、土曜日に計画されているさよならパーティーまであまり時間はありません。一日一日の活動は中味が濃く、一昨日到着したとは思えないほどの時間を過ごしているように感じますが、帰国日は思いのほかすぐにやって来ます。いまここでしか出来ないことを、皆さんがひとつでも多く経験できればと思います。
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11月20日(月)
November 20
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朝から土砂降りとなったオーバニー。どんよりとした空模様に関わらず、参加者の皆さんは8名全員が元気に学校へ集まります。Linn-Benton Collegeという大学のキャンパス内にある、語学学校の一部屋で、Mike先生による英語の授業が午後9時から始まりました。
まずは、施設内の設備を案内してもらいます。平屋の建物の中心にロビーが据えられ、どの部屋も見渡すことができるようになっています。軽食やスナックが揃った売店もあります。この学校で英語を学ぶ留学生数名が、ロビーで学校のスタッフとお喋りをしています。
自分たちの教室へ戻り、Mike先生から配られたテキストをもとに、授業が進められました。"How are you?"や"Thank you"など、基本的な英会話の“言い換え”を学びます。"How are you?"-"I'm fine."という表現は、正しい文章ではあるのですが、Mike先生によると、日常的にはあまり使われていないそうです。"How are you doing?"や"How is it going?"など、アメリカ人が実際に使っている表現を、ロールプレイングをしながら学びました。
雨のため、予定が一部変更され、午後からは住宅見学へ行くことになりました。そこで、住宅に関連する英単語についても学びました。「玄関」「台所」などの名詞に加え、色や素材の単語も学び、質問文を作って連想ゲームもしました。
50分毎に休憩を挟みます。最後の授業は、感情についての形容詞を学びました。
12時からはランチタイムです。ホストファミリーから、手作りのサンドイッチや、昨夜のディナーをお弁当として持参している方も含め、全員で大学内のカフェテリアに移動し、そこで昼食をとりました。この大学には調理科があり、そこで学ぶ生徒たちがカフェテリアのキッチンで働いています。料金はとても良心的な設定で、そこでランチを購入する参加者の方もいました。ひとつのテーブルを全員で囲み、それぞれの食事をとります。日本でいうところの「お弁当」とは異なる、質素な中身の「ランチボックス」に、少し戸惑った方もいると思います。量の多い食事を済ませ、13時からの住宅見学ツアーへ向かいます。
ランチタイムごろから雨があがり、午後からはうっすらと青空も見えてきました。Mike先生の運転するバンに乗り、学校の近くの“Palm Harbor Homes”という住宅展示場へ向かいます。ここは、いわゆる「プレハブ」住宅を販売する会社で、広い敷地の中に、いくつも立派な外観の家が並んでいます。ここで買った家は、そのまま、もしくは2等分、3等分した状態でトラックで牽引して、自分の土地へ運んでいくのだといいます。引っ越すときは、また家を持ち上げて、牽引して次の場所へ移動するそうです。家の中に入ると、プレハブとは思えないような空間で、展示用のセンス溢れる家具も揃っています。キングサイズベッドを置いても余りあるベッドルームや、バスタブ付きのシャワールームなど、まるで、海外ドラマの中に飛び込んだような気分になります。最安のワンルームタイプで約550万円、ベッドルームが2〜3室ついたものでも、1500〜2000万円と、思いの外低価格であることに、皆さん驚いていました。
次に、アメリカ人に人気の高い、RV(キャンピングカー)ディーラーへ行きました。アメリカでは、定年後にRVを購入して、アメリカ各地を旅して回るシニア世代が多くいるそうです。簡易的なものから、リクライニングソファを完備する大型のものまで、様々なRVを見てまわり、日本のライフスタイルとの違いを感じることができました。
最後に、Mike先生おすすめのドライブスルーに立ち寄り、アイスクリームをご馳走になりました。お日様は曇り空に隠れていましたが、コートは要らないくらいにまで気温が回復していたので、冷たいアイスも美味しくいただくことができました。
午後4時過ぎに学校へ戻り、今日の活動は終了です。ホストファミリーの迎えを学校で待ち、迎えが来ると、それぞれの家に帰っていきます。Mike先生からは、午前の授業で学んだ新しい英語表現を使って会話をするようにと、宿題が出ました。明日も、皆さんが元気に登校することを願います。
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11月19日(日)
November 19
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アカデミックシニアホームステイプログラムの第一期生となる、40代1名、50代3名、60代1名、70代3名の計8名が、いよいよ出発の日を迎えました。これまでに、4回にわたるオリエンテーションを実施し、異文化学習についての学習や現地活動のための話し合いを行い、準備を進めてきました。参加者同士の仲も深まり、集合場所ではそれぞれのご家族を紹介しあう微笑ましい場面もみられました。見送りの声援を背中に受け、鹿児島空港と宮崎空港からそれぞれ出発しました。
羽田空港で8名全員が集合し、成田空港までバスで移動します。高速道路はスムーズに流れ、搭乗時間に十分余裕を持って成田空港に到着しました。スーツケースの重量制限も難なくクリアし、続いて手荷物検査場へ進みます。コートやジャケットを着込んでいると、手荷物検査場を抜けるのにも一苦労でしたが、忘れ物のないように移動の都度に後ろを振り返りながら、出国審査へと移動します、パスポートに日本出国のスタンプを押してもらい、搭乗ゲートに出ました。搭乗予定の便が50分遅延の18時20分出発ということで、長めの自由時間を設け、解散としました。「現地に着いてから、日本食が恋しくなったときのお守りに」と、おにぎりを購入したり、外国人向けの日本色濃厚なお土産店を見て、過ごしました。飛行機遅延もあって、待ちくたびれた様子の参加者の皆さんは、集合時間よりもかなり早めに集合場所へ戻ってこられました。機内での注意事項や、ポートランド空港到着後の流れを説明しながら、搭乗時間を待ちます。
17時45分、ようやく搭乗が始まりました。米国系の航空会社のため、キャビンアテンダントはほとんどが外国人。ホームステイ生活を前に、英会話の練習タイムです。離陸後しばらくしてから、飲み物や機内食の提供が始まりました。すると、さすがシニアホームステイ参加者の皆さん、特に困った様子を見せることなく、各自好きなものをはっきりと英語で、注文していました。食後には機内が暗くなり、就寝時間となります。水分を摂り、トイレにも立ち、手首足首のマッサージをしてくださいと、皆さんに注意喚起をしました。約9時間10分のフライトでした。窓からアメリカ大陸の地形が見えてくるころ、朝食サービスが始まりました。そして、予定到着時刻から約1時間遅れ、飛行機は午前10時40分頃に、ポートランド空港に到着しました。冬場はどんよりとした天気が特徴の地域ですが、雲間からは青空が覗いています。参加者の皆さんの、順調な船出が期待されます。
入国審査は、引率指導者も毎回緊張するところで、厳しい表情の審査官が座っているカウンターの様子を伺いながら、Visitors(外国人訪問者)の列に並びます。すると、「ESTA取得者は別の列に並んでください」という案内が入り、“キオスク”と呼ばれる機械の列に移されました。見慣れない機械や画面にはじめは戸惑いましたが、日本語表示も選択でき、画面の指示通りに、パスポートの読み取りや指紋採取、顔写真撮影を行ないました。そこからまた、有人カウンターで質問を受けるという二重の入国審査が待っており、セキュリティーの厳重さを目の当たりにしました。
同時間帯の到着便が少なかったおかげか、少し戸惑いながらも審査場内はスムーズに流れ、無事8名全員が、晴れてアメリカの地に足を踏み出しました。スーツケースを受け取る際、スーツケースベルトの紛失が1件ありましたが、その場で航空会社職員に申告し、代替品の中古ベルトを貰うことができました。到着ターミナルまでは、さらに、バスに乗って移動します。バスからは、雪に覆われた山稜が富士山を連想させる、マウント・フッドを望むこともできました。
到着ターミナルへ入り、待合ロビーに向かうと、第一回オリエンテーションでご挨拶いただいた、現地受入校のマイク先生が出迎えてくれました。見知った顔に少し安堵します。ここからステイ地のオーバニーまで、およそ1時間半。まだ長い旅路の途中にある参加者の皆さんに、疲れの色が見られます。あともうひとふん張りです。
マイク先生が運転するバンに乗り、ポートランド、セーラムを通過し、一路オーバニーを目指します。途中、マイク先生の計らいで、ポートランドのダウンタウンを、ぐるりと一周しました。車窓から見る街路樹の紅葉や歴史を感じさせる可愛らしい建物に、歓声があがります。アメリカ西海岸を南北に縦断するI-5(高速道路)走行中も、近年州内で増加しているというへーゼルナッツ畑や、昔からあるというクリスマスツリー畑(!)を見ることができました。
こじんまりとしたオーバニーの街で高速道路をおり、広い駐車場のあるショッピングスクエアに入ります。飛行機の遅延もあってか、ホストファミリーたちはここに参加者の皆さんを迎えにくることになっています。予定時間より少し早めに到着した私たちは、トイレ休憩を挟み、ホストファミリーがやってくるのをドキドキしながら待ちます。このとき時刻は午後1時30分頃。日本では、20日の午前6時半。自宅を出発して、丸24時間が経つころですが、眠気も吹き飛ぶくらい、緊張と不安で胸がいっぱいです。
およそ10分ほど待つと、ホストファミリーらしき人たちが、続々と集まってきました。マイク先生やホームステイコーディネーターのパム先生からの紹介を受け、お世話になるホストファミリーとの対面を果たします。外は冷たい風が吹く凍えるような気温だったため、練習した自己紹介もそぞろに、皆さんそれぞれホストファミリーの車へと乗り込んでいきました。ホストファミリーの方々は、大人を受け入れるということもあってか、落ち着いた雰囲気の方が多いように感じました。皆さんとても礼儀正しく、きっと、参加者を温かく自宅へ迎え入れてくださるのだろうと、安心して見送りました。
ホームステイの初日、言葉の壁、習慣の違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、このシニアプログラムに応募される勇気ある皆さんなら何とかやっていけるはずです!明日の朝、皆さんの感想を聞くことを楽しみにしています。
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