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2018年鹿児島県立加治木高校 海外研修プログラムの活動報告です。


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海外研修

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●2018年活動報告

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4月5日(木)
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2018年4月4日〜5日
 午前7時半、メンロー教会に、研修生とホストファミリーたちが続々と集まってきます。昨晩のさよならパーティーの興奮冷めやらぬなか、研修生たちは夜遅くまでかかって荷造りをし、日本へ帰る準備をしてきたようです。全員が集まっても、なかなかバスに乗らない研修生たち。名残惜しい気持ちでいっぱいです。ホストファミリーと握手やハグをして別れを告げ、私やスザン先生に急かされながら車に乗り込みます。別れがつらいのはホストファミリーも同じで、バスの中まで上がって、最後の別れの言葉を述べてくれました。窓の中から、ホストファミリーの姿が見えなくなるまで、大きく手を振って、メンローパークをあとにしました。わずか2週間にも満たない時間とは思えないほど、愛着がわいたのではないかと思います。
 サンフランシスコ空港までの道のりは、渋滞もなく順調にすすみ、1時間もしないうちに到着できました。ところが、ドライバーの勘違いでなんと、国内線ターミナルにバスを降ろされてしまいました。国内線ターミナルが3つと、国際線ターミナルを構える、広いサンフランシスコ空港のターミナル内の移動は、無料のモノレールを利用します。まさかの間違いに少し焦りましたが、「モノレールにも乗れるんだ!」とポジティブに捉え、プラットホームやモノレール車内の様子もばっちりと写真に収めている研修生たちでした。時間にも十分に余裕があったおかげで、予想外のトラブルも楽しみに変換することができました。国際線ターミナルに到着し、ユナイテッド航空カウンターで搭乗手続きを行います。
 「何事も経験することが大事」ということで、近年急速に増加している機械でのチェックイン手続きを、自分で行ってもらうことにしました。ディスプレイの言語は日本語表記も選べるため、出てくる画面の注意事項や質問事項にしっかりと目を通して、搭乗券の印刷、手荷物預けのタグを印刷・取付まで、難なくこなすことができました。スーツケースを預ける前に、重さの計測をしてみると、制限オーバーの研修生が半数ほどいました。自分たちで購入したもののほかに、ホストファミリーからのさよならギフトをもらって、スーツケースはパンパンになっていたようです。機内持ち込み荷物に出して重さを調整し、万全の状態で手荷物預けのカウンターへ進みます。自分たちで搭乗手続きを行っていたおかげで、長い列に並ぶことなくスムーズに進みました。
 ジム先生、スザン先生とはここでお別れです。研修生たちは、いつの間にか「一期一会」と書いた寄せ書きを準備していたようで、お二人に贈呈しました。研修生の到着前からずっと、このプログラムを成功させるために尽力してくださったお二人には、感謝してもしきれません。一人ひとりハグをして、さよならを言い、セキュリティゲートへ進みます。
 厳重な入国審査とは異なり、アメリカを出るときには出国審査がありません。とはいえ、飛行機に乗る前のセキュリティチェックは厳しく、靴も上着も脱いで、金属探知機のゲートを通ります。何名かリュックの中身までチェックされて少し時間はかかりましたが、無事通過し、搭乗口のある66ゲートへ向かいます。最後の買い物タイムとして、30分程自由時間としました。ぎりぎりまでお店を見て回ってくるんだろうなぁと思いながら待っていたところ、集合時間前には全員集まってベンチに座り、学校の宿題に取り掛かる研修生たち。さすが加治木高校生、もうすでに日本モードに切り替えています。搭乗が始まり、大きく深呼吸をしてアメリカの空気を身体いっぱいに吸い込み、飛行機に乗ります。ほぼ定刻通りに、成田空港へ向かう飛行機が出発します。
 偏西風の影響で、来た時よりも2時間ほど長いフライトでしたが、研修生たちは宿題をしたり、感想文を書いたりと、機内での時間を有効に使っていました。若干揺れが強くなることもあり、軽い乗り物酔いになった研修生もいたようですが、成田空港に到着すると「日本語の看板を見るとホッとする」と、見慣れた日本の風景に一安心の様子でした。入国審査前の「おかえりなさい」という看板も、なんだか嬉しい気持ちになります。預けた荷物がひとつ出てこない、というハプニングもありましたが、係員の方にクレームタグを提示して、すぐに対処していただけました。羽田空港行きのリムジンバスもすぐに手配することができ、万事順調に進むことができました。
 午後5時には羽田空港に到着。午後7時10分発の鹿児島行きへの搭乗手続きも済ませて、自由時間を設けます。「何を買えばいいのかわからない!」とアメリカ土産には頭を悩ませていた研修生たちも、東京土産選びは慣れたもののようです。同日、オレゴン州から帰国するMNCCの小学生グループとも合流し、いよいよ、鹿児島へ帰る飛行機に搭乗します。飛行機は、スターウォーズ仕様の特別機で、機内にもスターウォーズのキャラクターが随所にちりばめられていました。機内BGMもスターウォーズ。アメリカから帰ってきたばかりの夢心地が、なんだか続いているようです。メンローパークを出発してからおよそ22時間。研修生たちの疲れがピークに達したのか、それとも安心感からか、ほとんどの生徒が熟睡していました。
 鹿児島空港に到着し、スーツケースを受け取り、学校の先生方や家族の皆さんが待つ到着フロアに出ます。解散式では、「今回の研修のおかげで、将来の夢や進路についての考えが固まってきた。アメリカでの経験を全校生徒に還元できるようにしたい。そして、研修を実現させてくれた学校や同窓会、家族へ感謝したい。」と、代表者が帰国の挨拶を行いました。迎えに来てくださっていた原口校長からも、研修生の無事の帰国の喜びと、労いのお言葉、そして、明日からの新学期に向けての激励のお言葉をいただきました。研修はこれをもって終了ですが、研修生たちには、翌日の始業式、春休み期間中の課題、試験、そして、研修結果報告会と、日本の高校生・受験生としての忙しい生活が待っています。旅の疲れから、体調を崩すことのないよう祈ります。
 在サンフランシスコ日本総領事館への表敬訪問、サンフランシスコ市内観光、シリコンバレーツアー、カリフォルニア大学バークレー校・スタンフォード大学見学、マウンテンビュー高校体験入学、そしてホストファミリーとの交流等々、わずか13日間で、研修生たちはたくさんの方々と出会い、様々な経験をしました。シリコンバレーに滞在することで、“ハイテク”が随所に取り入れられた生活から学ぶことも多かったと思いますが、やはり、人との絆や体験は、“アナログ”なものであることを、改めて実感しました。研修生たちが社会人として生活していく未来と、ハイテクがもたらす便利さや効率性は切り離せないものですが、異言語を習得する苦労とその喜び、他人とコミュニケーションをとること、異文化・自文化間の葛藤、一期一会という言葉の重み等、人間ならではの感性を、これからもたくさんのことを経験することで、ますます磨いていってほしいと願います。
 今回の研修も、ご支援をいただいた加治木高校同窓会の皆様、原口校長、宮田教頭をはじめとした加治木高校の先生方、そして、研修生を温かく送り出してくださったご家族の皆様のご協力のもとに、無事終了することができました。アメリカ滞在中にお世話になった、永吉昭一首席領事、加藤彰浩領事、領事館関係者の皆様にも、心より感謝いたします。
 研修生の皆さん、ホストファミリーやジム&スザンにも、ぜひ手紙を書いてあげてくださいね!マウンテンビュー高校のバディたちとの友情も、末永く続きますように。

4月3日(火)
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2018年4月3日(火)
 アメリカでの活動最終日、今日はスタンフォード大学研修とサヨナラパーティーが計画されています。昨日同様、カープールでスタンフォード大学に向かいました。
 ホストファミリーがスタンフォード大学の卒業生であったり、現在職員として働いていたりと、すでにホストファミリーと一緒に大学を見に来た研修生もいたようですが、今日はスザン先生案内のもと、ホストファミリー方の協力も得て、構内見学や講義聴講をすることになっています。まずは、彫刻家ロダンの作品が点在する広場から見学ツアーをスタートします。この広場に隣接するアートセンターには、世界各国からの芸術作品が所蔵されているそうです。私立大学であるこの学校は、卒業生に多くの企業家を輩出しており、その卒業生からの寄付によって、運営されている講義棟があったり、また、高額な学費(年間700万円になることも!)を免除する奨学金制度が設けられています。アメリカ国内でも随一の、“リッチな”学校でもあります。
 「メインクアッド」と呼ばれる、回廊で囲まれた中庭を通り、メモリアルチャーチを目指します。大学キャンパスの中心には、この「メモリアルチャーチ」と「メインクアッド」、そして青々とした芝生が広がる「オーバル」があり、広大な敷地を贅沢に使った開放感あふれる空間が広がっています。「メモリアルチャーチ」の壁面には絢爛豪華な装飾が施されています。次に、化学を専攻する学生の講義棟「Department of Chemistry」に勤めるホストファミリーの案内で、講義棟の中を見学させていただきます。春休み期間中ということで学生の数はまばらでしたが、それでも、実験に取り組んでいる様子や、様々な設備が整った小講義室、壁面が黒板になっていて、アクティブラーニングが行われている大講義室、化学・生物関連の書物が並ぶ図書館などを見学することができました。
 8180エーカー(鹿児島でいうと与論島よりも、三島村の総面積よりも広い)という広大な面積を誇るキャンパス内での移動手段として、無料シャトルバスが走っていたり、ロードバイクに乗っていたり、スケートボードに乗っていたりする学生の姿が見られました。物理学や経済学、経営学等、学部ごとに棟が連なり、大学というよりは小さな街を形成しているように感じられます。
 次に、飲食店や衣類等も取り扱うショッピングスクエアのような広場へ行きました。ここで、スザン先生から「インタビュータイム」の声がかかりました。カフェやベンチに座っている人たちに話しかけ、学生であれば研究対象を聞いたり、観光客であればその目的を聞いたりします。質問を準備してきていた研修生は目をキラキラさせながら、積極的に声をかけてまわっていました。「忙しい」と断られて心が折れそうになる研修生もいましたが、積極性やコミュニケーション力を向上するためには、トライの精神を貫き通すのみ!この一週間弱で培った英語を駆使して、何とか数名にインタビューを行うことができたようです。ブックストアと呼ばれる売店で少し買い物をし、次に経営分野の大学院の講義棟に向かいます。ここでも、ホストファミリーの協力を得て、カフェでの食事をさせてもらい、食後には一般開放されている講義に参加させてもらうことになっていました。一般講義ということで、大きなホールや大講義室での話を聞くものと思い、案内されるままに建物の中に入ると、通されたのは、30名ほどしか入れないような教室のひとつでした。講義をしてくださるのは、米平和研究所副所長のジェフリー・ヘルマン氏です。ヘルマン氏はスタンフォード大学の卒業生で、この講義は「キャリアトーク」と呼ばれ、基本的には学部生に対して公開されているものです。テーマは、「コンフリクト(対立や衝突の意)・マネジメント」。国際的な紛争や人種・民族間の対立などの問題にどのように取り組むのか、という難しい内容ではありましたが、研修生も一般聴講の学生と椅子を並べ、何とか知っている単語を聞き拾い、内容を理解しようと努めます。およそ一時間の講義でしたが、その内容は、ヘルマン氏の経歴から、平和研究所の役割、コンフリクト・マネジメントとは何か、また、平和研究所に入るにはどうすればいいのか、学部生へのアドバイス等、今後の進路を定めるうえで研修生にとっても聞きごたえのあるものでした。ピザ等の軽食が振る舞われ、食事をとりながら聴講するという雰囲気には少し驚きましたが、質疑応答の場面では、間髪を入れずに手を挙げて質問をする学部生たちの様子に、熱心に講義に取り組むスタンフォード生の姿勢を見ることができました。講義後、ヘルマン氏に自ら話しかけている研修生もおり、感心しました。初めての大学での講義がスタンフォード大学で受けられたということに興奮している様子の研修生たちでした。以上をもって、研修は終了。カープールでメンロー教会に戻ります。
 ここからは、今夜のサヨナラパーティーに向けての準備です。ホストファミリーへの感謝の手紙を仕上げたり、食事の際にテーブルに並べるマットへホストファミリーの名前を漢字で書きます。また、出し物の段取りや振り付けについても確認しました。約2時間ほどで何とかまとめ、いったんホストファミリーの家に戻ります。
 午後6時、会場となるホールへホストファミリーと研修生たちが集まってきます。協力して装飾した折り紙作品や、ジム先生とスザン先生が作ってくれたプログラムを手に、ホストファミリーをおもてなしします。ホストファミリーのほかにも、特別ゲストとして、永吉主席領事とそのご家族、カープールを手伝ってくれた昨年のホストファミリーもお迎えします。うれしいことに、マウンテンビュー高校のブレア副校長が、わざわざサヨナラを告げるために立ち寄ってくださいました。所用のため、ブレア副校長の参加は叶いませんでしたが、「来年も加治木高校生を迎えることを楽しみにしています。」とメッセージを残していってくださいました。
 全員が集まると、研修生たちで協力しあい、お弁当やみそ汁、緑茶をお配りします。今日はホストファミリーに感謝を表して、おもてなしをする日。研修生たちがホストとして、ホストファミリーに楽しんでいっていただかなければなりません。配膳が終わると、全員着席して、ホストファミリーとの会話を楽しみます。
 一通りの食事を終え、パフォーマンスに移ります。まずは、ジム先生から、列席してくださった永吉さんご家族や、協力してくださった方々、そして、ホストファミリーに対しての謝辞が述べられます。多くの方々に協力していただいて、このプログラムが成り立っていることを実感します。挨拶が終わり、研修生にバトンタッチ。司会者2名がまずスピーチし、プログラムをはじめます。まずは、「ジャパニーズクイズ」。日本の習慣や言葉に関する問題を出し、ホストファミリーに答えてもらいます。特に受けていたのは、日本のオノマトペに関する問題でした。研修生との交流を通して、日本文化に深い関心を抱いているホストファミリーの皆さんは、とても興味深そうに、一つ一つのクイズに反応してくれました。
 次のプログラムは「恋ダンス」。日本から練習してきた成果を発表することができました。そのあとは、個人演目として、ダンス、百人一首、空手、剣道、合気道、ギター演奏を披露しました。どの演目も、ホストファミリーの皆さんは、動画や写真を撮りながら、我が子の晴れ舞台をみるかのような温かい目で、見守ってくださいました。
 最後に、永吉先輩をお迎えして、加治木高校校歌を斉唱します。海を越えて、言葉も文化も異なる環境で、その国の人を前に校歌を歌うという希少な経験をし、郷愁や愛校心を、研修生たちもひしひしと感じることができたのではないかと思います。
 ジム先生とスザン先生から修了証書の授与が行われました。ホストファミリーに対してと、研修生に対して、それぞれにサティフィケート(修了証書)が贈られます。会の締めくくりは、キャンドルを灯して、「Auld Lang Syne(蛍の光)」をホストファミリーの皆さんと一緒に歌います。この歌のいわれは、ぜひ昨年度の研修報告をお読みいただければと思います。別れを惜しみながらも、再会を強く願い、新しく生まれた絆に感謝をしながら、ろうそくの灯を吹き消しました。
 いよいよ、ホストファミリーと最後のお別れです。明日の朝はいつもより早い時間の集合となりますが、しっかりと感謝と別れの言葉を伝え、最後の夜を過ごしてほしいと願います。

4月2日(月)
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2018年4月2日(月)
 二回目の週末を経て、今朝メンロー教会に集まってきた研修生の面々からは、少し余裕が感じられました。週末の過ごし方を聞いてみると、ホームステイならではの体験ともいえる、「イースター」のお祝いに参加した研修生が多くいました、イースターは、キリスト教でクリスマスと並ぶほど重要なお祝いで、日本語では「復活祭」と訳されます。「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」とされているため、年によって日付が変わる祝日となります。昨年(2017年)は4月16日、来年は4月21日となるので、イースター当日をアメリカで体験できたことはとても貴重だったと思います。処刑されたイエス・キリストが復活したことを祝うこの日には、「エッグハント(卵探し)」が子どもたちの楽しみとなっており、ホストファミリーといった教会で、それを体験した研修生もいました。また、ミサに参加した研修生たちは、難解な聖書の文言を何とか聞き取ろうと努力してきたようです。冠婚葬祭や初詣でしか「宗教」を意識する機会の少ない日本人研修生にとって、教会の雰囲気やミサに列席する人々の様子は、違和感や疑問を感じるものだったと思いますが、第三者として見物するのではなく、ホストファミリーと一緒に経験することで、少しは身近なものに感じられたのではないでしょうか。
 今日はメンロー教会近郊での活動となるため、カープール(相乗り)で移動します。ジム先生、スザン先生に加え、昨年加治木高校研修生を受け入れてくださっていた、ホストマザーのデボラさんが協力してくださいました。今年は家庭の都合で研修生の受け入れは出来なかったけれども、昨年のホストとしての経験がとても素晴らしかったことから、何か協力できればと申し出てくださったそうです。ホストファミリーたちを「もう一度加治木高校のプログラムに協力したい」という気持ちにさせてくれた、第一期生の活躍にも、感謝の気持ちでいっぱいです。
 3台の車に分乗し、ターゲットというお店にやってきました。ここは、食料品から文具、家電、衣料品まで何でもそろうディスカウントショップです。全米にチェーンを持つ大型展で、店の敷地面積から、商品の陳列棚、通路、カートまで、とにかく何もかもが大きい!ザ・アメリカを思わせるお店で、研修を兼ねてのお買い物の時間を取ります。食品を研究対象としている研修生は、食品コーナーで、食品成分表や賞味期限等をくまなくチェックしていました。また、レジでの支払い時には、セルフレジにカメラが設置されていたり、店内に無料Wi-Fiが飛んでいたりと、まだ日本では珍しいシステムに気づくこともできました。
 次に向かったのは、スタンフォードショッピングセンターです。ホストファミリーと過ごす時間の中では、ホストファミリーの予定に沿って過ごすため、なかなか言い出せない「お土産選び」。この時間を使ってお土産を買ったり、もしくは、日本では珍しい店舗を見物したりします。「無印良品」や「源吉兆庵」といった日本企業のお店も並んでいました。1時間半ほどの自由時間を過ごし、センター内のピザレストランに集合しました。ここで、ジム先生がランチを振舞ってくれました。メニュー読解にはやはり苦労しますが、辞書を駆使したり、店員に質問をしたりして、各々食べたい品を注文します。ペパロニ(ピリ辛サラミ)やグアカモーレ(アボカドサラダ)など、日本ではあまり聞きなれない食品にも挑戦しました。
 ランチを食べ終え、次に、メンローパークとサンフランシスコ空港の中間あたりにある、ボーリング場に行きました。ボーリングは、アメリカ人に人気のあるスポーツの一つ。古いアメリカ映画には、ボーリング場が登場するシーンもよく見られます。とはいえ、近年の傾向として、インターネット関連の娯楽が増えたり、休日にはハイキングやサイクリングなど、自然の中で行うものに人気が集まっていること等の要因から、ボーリング場は減少する傾向にあるそうです。特に、このサンフランシスコ近郊では、居住者の増加から地価があがり、ボーリング場も年々減ってきているとのことでした。そんなこともあってか、平日のお昼にもかかわらず、多くの人で賑わっていました。受付でまず聞かれる、「靴のサイズは?」の質問に対して、「25センチ!」では通じません。アメリカでは、“インチ”に変換しなければなりません。計算するよりも早いのは、自分の履いているスニーカーの裏や内側をのぞいてみること!JPNの横には、USの文字が。普段は目にとめることのない情報が、意外なところで役に立ちました。
 ここでは、ゲームごとに支払うのではなく、時間ごとの料金設定となっているそう。ジム先生から、2時間の許可をもらい、2レーンに分かれてプレイしました。タッチパネル式の画面に名前を入力して、ゲームを始めます。初めてボーリングをする研修生もおり、大いに楽しむことができたようです。最後に、スザン先生から明日のサヨナラパーティーについての連絡があり、今日はここで解散となりました。
 明日はスタンフォード大学見学と、スタンフォード大卒業生による一般講座の聴講、そして、さよならパーティーと、忙しい一日となりそうです。特に、ホストファミリーの皆さんを招いてのパーティーは、全員で協力をし合い、大成功となることを祈ります。

3月30日(金)
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2018年3月30日
 今日はシリコンバレー終日研修です。いつも通りメンロー教会に全員集合し、バスに乗ってまずはグーグル社を目指します。グーグル社を見学するためには、そこで働くグーグル職員のエスコートがなくてはなりません。私たちのエスコートをしてくれるのは、昨年度の研修でホストファミリーとして加治木高校生徒を受け入れてくれていた、ケイレブさんです。今年の生徒たちの案内も、快く受けてくださいました。グーグル社に到着し、受付を済ませてロビーで待っていましたが、ケイレブさんが少し遅れそうだという連絡が入り、待っている間に、グーグル社に近いフェイスブック社から行くことに。
 グーグル社からは、バスで10分程のところにフェイスブック社があります。世界的な企業がこんな短い距離のところに建っているのかと、驚きを感じます。フェイスブック社は、社内見学を行うことはできません。建物の様子も、昨日のサンフランシスコ研修で目にすることの多かったガラス張りの開放感あふれる建物とは様相が異なり、カラフルながらも、少し閉鎖的な印象を与えます。外来者用の駐車場にも警備員が立ち、かの有名な「いいね!(英語ではLike!)」サインの看板の前で写真を撮る訪問者たちを厳しい目で見ています。看板の裏側をみると、昨日加藤領事のプレゼンテーションで教えていただいた、フェイスブック社の前にこの地に社屋を構えていた、サンマイクロシステムズ社の文字が残っていました。フェイスブック社の住所は、1 Hacker Way, Menlo Park となっています。ハッカーと聞くと、コンピュータやネットワークに不正侵入する犯罪者のイメージがありますが、元来は、コンピューターに関する専門知識を持ち、それを駆使してコンピューター内部の仕組みや構造を読み解き、問題や課題を突破していく人たちのことを指すそうです。フェイスブックの創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏もハッカーであるといえます。既存概念を打ち破り、常に新しいものを創造・構築していこうとする“ハッカー精神”が、この住所に込められているのでしょう。
 ケイレブさんから連絡が入り、グーグル社へUターン。バスを降りたところで、ケイレブさんが現れました。20代前半、研修生たちとも比較的近い年齢であるケイレブさんは、スタンフォード大学でコンピューターサイエンスを学び、一昨年グーグル社に入社されたそうです。パーカーにチノパン、片手にコーヒーというカジュアルな姿は、まさにシリコンバレーで働く青年といった印象です。さっそく、見学者のための展示スペースに案内してもらいます。ユーザー数の推移を示す手書きのグラフや、オフィスの雰囲気を知ることができるモデルルーム、グーグルアースをパノラマで見られるディスプレイ等を見学・体験しました。グーグルの検索画面に表示される「Google」というロゴのデザインが、祝日や記念日に合わせて変わっているのを見たことがある人もいると思います。これを、Doodle(ドゥードル・いたずら書き)といい、年に一度、米国内の中高生からデザインを一般募集するコンテストが行われるそうです。また、ケイレブさんの経歴を伺うと、高校3年生のときにプログラミングに興味をもち、学校の選択授業でプログラミングを学んだということ。「やってみたい」と思ったことをすぐに学んだり、実践したりすることのできる、米国人の行動力と、その好奇心を追求させてくれる環境が、少し羨ましくも感じられます。「大学進学時はいくつの学校に出願したのですか?」という研修生からの質問には「18校。」という驚きの答えが返ってきました。「労働時間は何時間ですか?」という質問には、「残業をすることもあるけれど、平均して8時間程。」というお答え。カジュアルな雰囲気から、のんびりと陽気に暮らしているような印象を受ける米国人の生活スタイルですが、影の努力や苦労もあるのでしょう。先日の高校体験の帰り道で、研修生の一人が、「アメリカ人の生徒たちは、授業中にスマートフォンをみたり音楽を聴いていたりして遊んでいるようだったけど、そのような生徒たちはすでに課題を済ませている生徒たちだった。やることをやった上で、自由な時間を過ごしていた。逆にいうと、結果がすべてだから、大変な面もありそう。」と話していたことが思い出されました。案内をしてくれたケイレブさんと別れたあとは、グーグルショップへ行き、ここでしか販売されていないというグーグル関連グッズを見て回りました。
 次に、グーグル社のあるマウンテンビューから、車で30分程南下したところにある、サンノゼという街に向かいます。ここでは、The Techという科学技術博物館を訪問します。まずは、博物館内のカフェテリアで昼食をとりました。Jim先生がランチをごちそうしてくださるとのことで、自分で食べたいものを注文します。ホストファミリーと外食をしたことのある研修生もいますが、ほとんど写真がなく、英語ばかりのメニューを読み解いて注文し、支払いをするのはまだ少し緊張します。なんとか自分たちで、店員さんとのやり取りをこなすことができました。昼食を終えたら、ジム先生から配られたチケットを持って、3階建ての博物館を自由に見学します。特別展として、「人体の不思議展」が行われていました。樹脂加工をされた本物の人体標本が展示されており、筋肉や臓器、人体内部の造りを観察することができます。IRISというAR機能(拡張現実・ポケモンGoで取り入れられている機能)が搭載された端末をもって、展示を見て回ります。展示物にIRISをかざすと、画面には臓器の説明や、関連する文献や歴史的事象の説明が表示されます。鹿児島でこのような展示が導入されるのはいつになるのだろう、と感じながら、科学技術最先端の地で体験できる様々な展示を見ることができました。「人体の不思議展」のほかにも、微生物を培養してできる集合体(コロニー)の色を観察するラボ体験や、科学技術や医療技術を社会貢献に活かしている企業の動画閲覧、宇宙関連の展示等から、様々な分野にわたる“技術”について学ぶことができたのではないかと思います。英語による説明は難しい部分もあったかもしれませんが、一方的に知識や情報を与えられるのを待つのではなく、「hands-on(実践的な)」というスタイルの学び方も、体感することができたのではないかと思います。
 最後に、メンローパークの隣町、パロアルトにある、ヒューレットパッカードガレージを見学しました。なんの変哲もない普通の住宅地に建つ一軒家の車庫が、このシリコンバレーの発祥の地と呼ばれています。ヒューレット・パッカード社の創業者たちが、ここで半導体を用いたコンピューター技術の研究を重ね、いまのシリコンバレー発展につながったといいます。ジム先生から、「きっと技術者たちの奥さんが、家の中ではなくガレージでやってと言ったからだろうね。」と、偉大な技術者たちも、普段の生活は一般人と何ら変わりなかったのだろうというジョークを交えて、説明してくれました。
 メンロー教会に着くと、スザン先生と一緒に、来週のさよならパーティーに関する話し合いをしました。日本から話し合ってきた内容をスザン先生に伝えます。お世話してくれているホストファミリーを喜ばせるためにも、良い時間となるようみんなで協力して成功させましょう!話し合いの後には、ジム先生がみんなにアイスクリームをごちそうしてくれました。アイスクリームショップでも、メニュー読解の壁や注文の壁を乗り越えて、美味しくいただくことができました。
 土日は活動はお休みです。ホストファミリーとの残り僅かな時間を有意義に使い、家族の絆を深めて欲しいと願います。

3月29日(木)
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2018年3月29日
 今日はサンフランシスコ終日研修の日。午前8時にメンロー教会を出発し、サンフランシスコ市内に向けて北上します。40分程走ると、サンフランシスコの高層ビル街が見えてきます。最初の目的地は、金門橋とも呼ばれるゴールデンゲートブリッジです。サンフランシスコの街中を抜けて、サンフランシスコ半島の北端を目指します。
 ゴールデンゲートブリッジの麓にある、展望所に到着すると、バスを降り、集合写真を撮影します。昨年の研修時も晴天に恵まれましたが、今年も青空に赤く塗装された橋がくっきりと浮かび上がる最高の天気でした。橋の右手には、アルカトラズ島もよく見えました。10分程の自由時間を設け、橋に近づいて写真を撮ったり、橋に使われているワイヤーの展示などを見学しました。
 ゴールデンゲートブリッジから、サンフランシスコ中心地に向かう道中、プレシディオと呼ばれる地域を通ります。元々はアメリカ軍の軍用地であったという地域ですが、現在は緑豊かな公園が広がり、ゴルフコースなどのレジャー施設が配置されています。公園を抜けると、今度はまるでお城のような造りの住宅が並ぶ通りを進みます。ジム先生によると、かつてロシア人が多く移住していた地域だそうで、教会の造りも一風変わった印象的な形状をしていました。中心地に入ると、今度は中国語の看板が多くなってきました。また、日本人町に通りかかると、ダイソー、紀伊国屋等日本語の看板も見られます。そのほかにも、イタリア語やスペイン語等、車窓から見えるだけでもたくさんの言語、人種が混沌としていることがわかります。メンローパークやマウンテンビュー高校で感じた以上に、アメリカの多様性に触れる一日となりそうです。途中、バスの車窓から、オペラハウスとシティホールも見ることができました。クラシック音楽を聴くことが好きな生徒がおり、スザン先生が建物の説明をしてくれました。
 サンフランシスコ市街地の中心、ユニオンスクエアでバスを降ります。ホテルや大規模なデパートが立ち並ぶ中にすっぽりと穴が開いたような空間に公園があり、多くの観光客で溢れかえっています。研修生たちには、持ち物管理と危機管理の注意をし、全員一緒に、ケーブルカー乗り場に歩いていきます。サンフランシスコ観光での目玉でもあるケーブルカーには、平日とはいえ、多くの乗客で賑わっていました。列に並び、順番を待ちます。3月とは思えないほど強い日差しの中、気温は25℃にものぼり、待ち時間が少し辛く感じられましたが、ストリートミュージックをBGMに、街の雰囲気を観察しながら過ごしました。ようやく順番が回ってくると、ケーブルカーの両側に分かれ、立ったまま手すりを持って乗るところに案内されました。発車すると、思いのほかスピード感があり、右側は自動車と並走、左側は対向してくるケーブルカーとすれ違うという、スリルのある場所で、運転手の“Hold on!!(しっかりつかまって!)”という言葉よりも先に、手すりを持つ手に力が入ります。歩道を歩く人たちが時折手を振ってくれます。「坂の街」の異名を持つサンフランシスコ。起伏の激しい道路に線路がひかれるケーブルカーは、上ったり下ったりを繰り返し、坂道を上りきったところで一旦停車します。世界一の急勾配坂といわれるロンバートストリートです。直下に車が吸い込まれていくような風景でした。
 ケーブルカーを降りて、またしばらく歩き、フィッシャーマンズワーフへ向かいます。有名なカニの看板を見ることができました。さらに歩き進んで、ピア39へ。ここで、ランチタイムと自由時間を1時間程設けます。時間厳守を約束し、3つのグループに分かれて、それぞれカフェやショップでの時間を楽しみました。そして約束通り、全員時間ぴったりに集合してくれました。
次の目的地は、在サンフランシスコ日本国総領事館です。ビジネス街の中心、ビルが立ち並ぶど真ん中でバスを降り、総領事館のオフィスがあるビルに入ります。エレベーターで21階まであがり、受付を済ませると、オフィスの中へ通されました。一面がガラス張りの開放感あふれる会議室へ案内していただき、永吉昭一首席領事と、加藤彰浩領事が迎えてくださいました。昨年度の研修でもお世話になったお二人に、海外派遣第二期生もまた、お会いできることを、本当にありがたく感じました。まず、永吉首席領事より、加治木高校研修生のために作成してくださった資料が配られます。日米関係、鹿児島とカリフォルニア州の関係、鹿児島とカリフォルニア双方にゆかりのある歴史上の人物について、とても分かりやすく、研修生たちにとって身近に感じられる内容で、ご説明をいただきました。中でも、旧制加治木中学出身である伊丹明の説明においては、研修生の中にもその名前を聞いたことがあると手が上がり、より関心を高められたようです。また、カリフォルニア州の多様性がもたらす強みや、シリコンバレー一帯から生まれる新たなビジネスが世界・日本にもたらす影響や、そこから何を学ぶかという問題提起等、非常に示唆に富んだお話を聞かせていただきました。
 そして、加藤領事によるシリコンバレーについてのプレゼンテーションを拝聴しました。シリコンバレーの物理的な規模を説明いただくのに、鹿児島県に置き換えた場合の例を挙げてくださり、永吉首席領事と共に、研修生のことを考えて説明してくださるお二人の心遣いを感じられました。シリコンバレー終日研修を明日に控えた研修生たちにとって、加藤領事のお話もとても興味深く、シリコンバレーの成り立ちや有名なIT企業にまつわる話、シリコンバレーに拠点を置く企業家等、様々な情報を与えてくださいました。
質疑応答の場面では、「高校時代、何の部活動をしていましたか?」「どんなことがきっかけで、また、どのようにしてこの総領事館で働くに至ったのですか?」「高校時代を振り返って、私たちがいましておくべきことは何がありますか?」等、同じ高校の先輩だからこそ聞いてみたい質問が、多く上がりました。永吉総領事も、加藤領事も、様々な「経験」を積むことが大事であるとおっしゃっていました。たくさんの人と出会い、たくさんの話を聞き、内省し、経験を積むこと。そして、自分の興味のある分野を伸ばす努力をすることが、いまの研修生にできることであると、説いてくださいました。そして、研修生代表としてタクマに総括・感謝の言葉を述べてもらいました。また、レンから120周年記念誌を贈呈させていただきました。記念撮影をし、最後はエレベーターホールまでお見送りいただきました。日本から遠く離れた異国の地で活躍するお二人にお会いし、お話を伺えたことは、研修生にとってかけがえのない財産になったと思います。タクマが最後の挨拶で述べたように、今日のお二人のお話と、この研修を通して学んだことは、ぜひとも帰国後に全校生徒の皆さんと分かち合えるよう、残りの研修も真摯に取り組まなければと痛感しました。
帰宅ラッシュに重なり、メンローパーク到着時間を大幅に過ぎて帰ってきましたが、ホストファミリーの皆さんは快く研修生たちの迎え時間変更に応じてくださいました。多くの方に支えられていることを、ここでも実感します。毎日、ホストファミリーへ感謝の気持ちを言葉にするよう研修生たちに伝え、見送りました。

3月28日(水)
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2018年3月28日
 マウンテンビュー高校訪問2日目。集合場所からバスの出発を待つ間、近くのコーヒーショップに行ったところ、無料配布の新聞を発見。研修生たちは、英語学習のためにと、一部ずつもらっていきました。何気ない生活の中にも、多くの学習教材があるこの環境を、存分に役立ててほしいと感じました。
 マウンテンビュー高校に到着すると、先日と同じようにバディたちが迎えてくれます。今日はそのまま、日本語を教えるウォルター先生の教室へ向かいます。ウォルター先生は、米国在住の日本人女性です。昨年の加治木高校研修生たちも大変お世話になりました。今年も、先生の教室をお借りして、日本から準備をしてきたプレゼンテーションを発表します。1コマ90分間の授業時間を3コマ分使って、3クラスの米国人生徒たちに、日本の文化や伝統について紹介します。日本語を学ぶ米国人生徒たちにとっても、同年代の日本人生徒たちと交流する貴重な機会であることから、とても暖かく迎えていただきました。
 まずは、「Japanese 1」の初心者レベルの生徒たちと一緒の授業です。アイスブレイクとして、彼らが練習しているという、最近彼らの間で流行しているダンスを披露してくれるとのことで、日本人研修生は椅子に座り、見学させてもらいます。すると、流れてきた音楽は、日本でも流行した「恋ダンス」。日本人研修生たちも一緒になって、ダンスを踊りました。日本人だけだと気恥ずかしいところですが、米国人生徒たちの堂々とした姿に影響されてか、みんな笑顔でダンスを披露してくれました。
 少し緊張もほぐれたところで、日本人研修生たちからの自己紹介をはさみ、プレゼンテーションへ移ります。まずはグループプレゼンテーション。春夏秋冬の四季に応じた、日本の伝統行事を紹介します。春グループは、子どもの日とひな祭りを。夏グループは、夏祭りを軸に花火や浴衣、出店を。秋グループは、お月見を。冬グループは、おせち料理を、それぞれ画像を見せながら紹介しました。リハーサルなしのぶっつけ本番だったため、少し戸惑いもありましたが、立派に発表することができました。続けて、個人プレゼンテーションを行いました。百人一首、日本の伝統食、忍者、桜島について、それぞれ準備してきた原稿を手元に、スライドを交えて発表します。前日にホストファミリーを相手に発表の練習をした研修生もおり、発音矯正など協力をしてくれたホストファミリーには感謝の気持ちでいっぱいです。グループプレゼンと、4名の個人プレゼンを終え、今度はマウンテンビュー高校の生徒たちの発表を見せてもらいます。といっても、プレゼンテーションではなく、彼らが日々練習をしているというダンス披露。体を動かすことが本当に好きなようです。楽しみながら反復することで、日本語の歌詞を覚えられるという点で、彼らの日本語力向上につながっているようです。先日バディたちと行ったゲーム(ヒューマンビンゴ)を行ったり、マウンテンビュー高校の生徒たちが用意してくれていたドーナツ(ナイジェリア風!)や、ライス(インド風!)をいただきながら、会話に花を咲かせていました。最後に集合写真を撮影し、この時間は終了です。
 休憩をはさみ、2時間目は「Japanese 4」の上級者クラス。バディの面々もこのクラスをとっています。13名ほどの少人数だったため、1時間目と比べるとかなり落ち着いた雰囲気となりました。1時間目と同じように自己紹介から始め、グループプレゼンを行います。先ほどは私が担当したスライド係も、研修生たちに交代で勤めてもらいました。互いに協力し、段取りを確認しながら発表します。日本語の能力だけでなく、日本に対する関心も高いこのクラスの生徒たちからは、質問やコメントを述べてもらうことにしました。「4つの季節に分けて発表していたのが、とても分かりやすかった」「画像もあって説明に説得力があった」「英語もはっきりと話せていて、理解することができた」というお褒めの言葉をもらい、研修生も少し自信をつけたような表情でした。個人プレゼンは、日本の民間療法、学校給食、日本のロケット、弁当文化についての発表でした。各プレゼン終了ごとに質問を受け付けたところ、「民間療法は実際に効くのか?」「給食に対してお金を払っているのか。いくら払っているのか。」「ロケット打ち上げはどのくらい近くで見られるのか。」「弁当を作るのにどのくらいの時間と費用がかかるのか。」などの質問を受けました。日本語上級者とはいえ、研修生たちは質問に対し、ほぼ英語で受け答えすることができていました。マウンテンビュー高校の生徒の中に、鹿児島出身の親をもつ日系の生徒がおり、天文館の話などが出てくる場面もありました。
 プレゼンテーションのあとは、3つのグループに分かれて、日米の学校の違いなどについて意見交換を行いました。校則や宿題、単位履修などについて、互いに知りたいことを質問し合い、双方の長所短所を探ります。途中メンバーチェンジをしながら、様々な意見を聞き、主張することができたのではないかと思います。最後の10分間では、シリコンバレーに位置するこのマウンテンビュー高校で、ハイテクを取り入れた備品やシステムについて教えてもらいました。ここで学び、思考した内容は、帰国後の研修成果報告に大いに役立つのではないでしょうか。
 あっという間に2時間目も終了し、ランチタイムとなりました。研修生たちがバディとランチを取りに校内へ散っていったあと、提出してもらった日記に目を通しました。そこには、アメリカで遭遇した発見や、ホストファミリーと一緒に行った場所、実践したトライ、うまくコミュニケーションがとれない葛藤など、たくさんの感情が書き連ねられていました。全体活動以外でも、充実した時間を過ごしているようです。
 ブザーが鳴り、研修生が教室に戻ってくると同時に、「Japanese 1」の、1時間目とは別クラスの生徒たちがやってきます。人数も多く、午前中の生徒たちに輪をかけて元気な生徒たちで、研修生たちがこれから何をしてくれるのだろうと、好奇心旺盛なまなざしで待っています。さっそく、自己紹介をし、グループプレゼンを発表します。3回目ともあって、原稿を見る回数も減り、プレゼンの内容を「自分の言葉」で、スピーチすることができていました。個人プレゼンは、日本の制服、剣道、と、自ら2回目のプレゼンを志願してくれた、忍者、ロケット、伝統色の5名が発表します。「制服を着ていかなかったらどんな結果が待っているのか。」「女子の髪型に決まりはあるのか。」「制服はいくらぐらいなのか。」「制服のサイズはどのようになっているのか。」「剣道の胴衣の重さはどれくらいなのか。」「(剣道で)心身を鍛える、ということの“心”とはいったいどのような意味か。」「忍者のイメージが派手でかっこいいという印象になったのには、何か理由があるのか。」などなど、日本語であったとしても答えに少し時間がかかってしまいそうな質問も含めて、たくさんの疑問が投げかけられました。研修生たちは、何とか知っている単語を使って応じていました。このクラスとも、「恋ダンス」を一緒に踊り、最後に記念撮影をして授業を締めくくりました。
 バディが教室にやってきて、研修生との別れを惜しみます。昨日の宿題として、研修生のみんなに用意してきてもらった、サンキューカードに写真を添え、バディに渡します。たった2日間にも関わらず、互いに完ぺきではない言語を何とか駆使しながら、コミュニケーションを図ることができ、国籍を超えた絆が生まれたようです。最後の最後まで、別れを惜しみ写真を撮ったり、連絡先を交換したりしていました。研修生たちが乗った車が見えなくなるまで、バディたちは手を振って見送ってくれました。
 メンロー教会に戻り、明日のサンフランシスコ終日研修の注意事項と、今後の研修への取り組み方について話をしました。米国到着から5日が経ち、マウンテンビュー高校での体験やホストファミリーと過ごす時間から自信をつけたことは本当に褒めるべきところですが、反面、慣れからくる心のゆるみが出やすい時期でもあります。研修生たちの様子を見る限り、それぞれ目的をもって研修に取り組んでいるようではありますが、アメリカの自由な雰囲気をただただ受け入れるのではなく、加治木高校生代表としての責務を果たすことを念頭に、残された期間の活動に取り組んでいこうと、話をさせてもらいました。
明日のサンフランシスコ終日研修では、在サンフランシスコ日本国領事館への表敬訪問が計画されています。加治木高校の偉大な先輩である主席領事永吉昭一氏との面会に、研修生たちの期待が高まります。

3月27日(火)
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2018年3月27日
今日は終日研修。昨日同様、午前7時45分にメンロー教会に集まり、まずはカリフォルニア大学バークレー校を目指します。先週までは雨や曇りの空模様が続いていたそうですが、幸いにも研修生の到着以降は、青空の広がる心地よい朝を迎えています。
バスは、サンマテオ橋を渡り、オークランドに入ります。近くにはオークランド空港や、サンフランシスコへ繋がるベイブリッジ、主要高速道路のジャンクションがあり、慢性的に混雑するところです。渋滞の中ゆっくりと進むバスの車窓から、NBAサンフランシスコ・ウォーリアーズの本拠地である「オラクルアリーナ」や、MLBオークランド・アスレチックスの本拠地「オークランドコロシアム」を見ることができました。
 1時間半程かけて、目的地のバークレー校に到着しました。学校周辺には、たくさんの店が立ち並び、春休み期間中にも関わらず、多くの学生らしき人々や、キャンパス見学に来ている人々で賑わっていました。スザン先生・ジム先生からの説明があり、バークレー校はその自由な校風が特徴的だということ。私立大学が上位を占める米国大学ランキングの中に、公立大学としてランクインする学校であること。後日研修予定のスタンフォード大学とは、西海岸の地域において文武共にトップを争うライバル校であること。また、学校のマスコットは「熊」であり、キャンパスの至る所に熊をモチーフにした像や仕掛けがあることを教えてもらいました。カリフォルニア州以外から来る学生の場合、年間約400万円の授業料と、180万円近くの寮費が必要だそうです。さらには、米国での成績評定(GPA)で、最高4.0のうち3.9の学力が求められるだけでなく、エッセイや面接による試験が行われることなども伺いました。学校の成績だけでなく、生徒たちの個性や学問への意欲が合否を左右するという点は、日本の一般入試と大きく異なる点です。
 まずは、かつて学生運動が盛んだったころに、集会や演説の場となったスプロールホールを訪れます。広場には、「This soil and the air space extending above it shall not be a part of any nation and shall not be subject to any entity’s jurisdiction(この土地と頭上に広がる空間は、いかなる国家にも権威にも属さない)」という文字が刻まれており、60年代に巻き起こったフリースピーチムーブメントの拠点であったことを実感させます。キャンパスへ続くテレグラフアベニューを進み、バークレー校を象徴するセザーゲートの前で記念撮影をしました。さらに奥へ進むと、カンパニッリ(イタリア語で鐘楼の意)と呼ばれる時計台があり、その展望台に上ります。高さ307フィート(94m)のタワーは、世界で3番目に高い時計台でもある鐘楼だということです。エレベーターと展望デッキにあがると、大小61あるという鐘が頭上に吊られていて、中央には演奏用の個室がありました。ここからは、サンフランシスコの街やゴールデンゲートブリッジまで見渡すことができます。天気にも恵まれ、素晴らしい眺望を望むことができました。
1,200エーカー以上(東京ドーム100個分以上!)もある広大なキャンパスを回るには時間が限られているため、場所を限定して見学して回ります。校内には20以上もの図書館があるそうで、中でも最大規模のバンクロフト図書館・ドー・メモリアル図書館の中を見学します。春休みということもあり、多くの人はいませんでしたが、静かに分厚い書物に読みふける学生の姿がみられました。建物自体は非常に古く、多数の重厚な絵画がかけられていたり、天井に美しい彫刻が施されていたりする一方、座席にはすべてにパソコン用電源が備えられていました。1868年設置の大学は、今年が150周年ということで、至る所に記念のディスプレイや看板が見られました。
 次に、「Zoology(動物学)」「Bacteriology(細菌学)」と壁面に刻まれているライフ・サイエンス部門の校舎を見学します。20名ほどの小さな講義室が廊下沿いに並んでおり、廊下の壁には、新入生のためのガイダンスや、各年次へ対する先輩からのアドバイスなどの掲示がありました。外観はとても重い雰囲気ですが、これらの掲示や各講義室からは在学生の日々の様子が感じ取れ、少し親近感をもつことができます。棟の中には、ライフ・サイエンスにまつわる書物を集めた図書館があり、その入り口には、ティラノサウルスやプテラノドンの化石が展示されていました。モンタナ州で発見されたというティラノサウルスの化石を組み立てたのは、研修生と年齢のあまり変わらないフレッシュマン(学部1年生)だったとのこと。通常の講義で単位を修得する以外にも、この化石を組み立てた学生たちのように、教授に付いて研究の雑務を手伝うことでも単位をもらったり、有償のインターンシップを得られたりと、学ぶ意欲をアピールすることで、貴重な機会にも巡り合えると、キャンパスツアーを引き連れていた、現在学部1年生の女性が話していました。
 外に出ると、先ほど上った時計台から鐘の音が聞こえてきます。あっという間にお昼の時間となり、ジム先生・スザン先生と合流して、学生会館内の広場で昼食をとりました。その後、大学名の入った衣類や文具などが販売されているスチューデントストアに行き、次の目的地へ移動します。
 車で20分程かけてやってきたのは、オークランド動物園です。スザン先生から入場券をもらい、中に入ります。園内の地図を手に、見慣れない英単語から何の動物が見られるかを推察しながら回りました。2時間程自由時間として、解散します。珍しい動物やディスプレイにカメラを向けたり、電子辞書を片手に単語を学んだり、園内のケーブルカーに乗ってみたりと、それぞれの楽しみ方で自由時間を過ごしました。
 午後4時にはメンロー教会に戻り、ホストファミリーの迎えを待ちます。今日から新しいホストファミリー宅へ移る研修生が2人おり、緊張しながらホストファミリーの到着を待っていました。1人でステイしていたときの心細さが晴れると喜びつつも、2人一緒になったら日本語に甘えてしまうかもしれないと、「英語で話そうね」とルールを決めていました。一日一日があっという間に過ぎていく中で、このようなルールを決め、英会話力の向上やコミュニケーション力の強化に努めることはとても大切です。この2人の姿勢を分かち合うよう、明日の朝ほかの研修生にも伝えたいと思います。

3月26日(月)
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2018年3月26日
 学校体験1日目。午前7時45分、集合場所であるメンロー教会の前に、研修生たちがぞくぞくと集まってきました。到着直後に休日があることは、時差ぼけや長旅で疲れた身体を休められる反面、いきなり英語の波に飲み込まれてしまい、ホームシックや体調不良につながることもあります。どんな様子で集まってくれるだろうという引率者の不安を一気に吹き飛ばすかのように、みんなニコニコと興奮した様子で、日曜日に何をしたのか話を聞かせてくれました。
 近所の高校で行われていたミュージカルを見学しにいき、人生初のスタンディングオベーションを経験したり、航空博物館へ連れて行ってもらったり、サンタクルスという、メンローパークから南下したところにある景勝地へ行ったりと、それぞれにホストファミリーとの時間を過ごすことができたようです。さっそく、夕食に照り焼きチキンを作ってあげたという研修生もいました。
 ジム先生、スザン先生も到着し、全員で貸し切りのバンに乗って、本日の活動地である「マウンテンビューハイスクール」を目指します。高速道路を使って15分程のところにあるのですが、目的地の近くにあるグーグル社をはじめとしたIT企業に勤める人たちの通勤ラッシュにつかまってしまい、少し遅れての到着となりました。すると、駐車場のところまで、研修生たちのお世話をしてくれる「バディ」たちが出迎えるために待っていてくれました。副校長のブレア先生からご挨拶をいただき、研修生たちも一人ずつ自己紹介をします。そして、今日一日共に過ごすバディが紹介されました。バディたちは、日本語上級クラスの生徒たちで、英語で自己紹介をした研修生に応えるように、日本語で話しかけてきてくれます。研修生にとって、彼らが最も身近な英会話の先生となるように、彼らにとっても、研修生は日本語や日本のことについて学ばせてもらえる貴重な出会いとなります。バディが発してくれる「学ぼう」という積極的な意欲が、研修生を刺激したかのように感じました。移動中少し眠そうだった表情が、きゅっと引き締まったようです。
 まず、バディとの交流を深めるために、ブレア先生が用意してくれていたのは、「ブレックファスト(朝食)タイム」。学校のご厚意で、パンやフルーツ、ヨーグルト、チーズなど、軽食がテーブルに並べられ、バイキング形式で好きなメニューを皿に盛り、バディとお喋りします。ホストファミリー宅での朝食がシリアルだけでお腹が空いていた、という研修生は、率先して食べ物を取り分けていきます。日本の朝食に比べて量が少なめのアメリカの朝食には、まだあまり慣れないようです。お腹も満たされ、会話や体を動かすことを目的とした2〜3のゲームをして、研修生たちの緊張もだいぶほぐれてきました。
 新入生が入学する際に、先輩たちが学校内を案内してくれるそうで、研修生たちにもその先輩(学年は研修生と同じか下の生徒ですが)が、広大なキャンパス内をガイドしてくれました。音楽棟や劇場、理系、語学系、アート系と、授業の分野毎に建物が分かれており、すべて平屋の造りとなっていました。校庭というには広すぎる全面芝生のフィールドや、屋外温水プール、生徒用の駐車場など、たくさんの施設があります。道中すれ違うアメリカ人生徒たちは、私服であるということ以上に、ニット帽をかぶっていたり、髪の毛が奇抜な色をしていたり、ばっちりお化粧をしていたり、さらにはヘッドホンで音楽を聴いていたりと、日本の学校では考えられないような光景です。
 ブーっというサイレンが鳴ると、校舎からたくさんの生徒たちが出てきます。二時間目からは、研修生たちもそれぞれのバディと共に授業を受けます。日本の高校と大きく異なる点は、〇年〇組という“クラス”が存在せず、それぞれの年次に取得しなければならない単位数を考えながら、自分で時間割を組み立てるというところで、授業ごとに生徒たちは教室を移動し、クラスメートも授業ごとに違った面々であるということです。日本の大学のようなシステムですが、研修生たちはとにかくバディに必死について回ります。哲学や物理など、日本語でも理解の難しそうな授業や、数式をみれば簡単に解くことのできそうな(研修生曰く)数学の授業、また、ヒップホップダンスの授業など、多種多様な授業を体験することができたようです。ランチタイムになると、校舎から一気に生徒が溢れ出てきて、カフェテリアに集まったり、廊下の地べたに座り込んだりと、これもまた日本の学校ではなかなか見られないような光景が広がります。研修生たちもその中に紛れて、家から持ってきた、サンドイッチやフルーツなどの昼食をとります。感心したことは、決して日本人生徒だけで固まることなく、バディやその周囲の生徒たちに話しかけようとする姿がみられたことです。何を話しているのかと近づいてみると、学校生活や恋愛のスタイル、趣味の話など、いわゆる「雑談」。何気ない会話のようではありますが、定型文を使った会話ではなく、「自分たちが話したいこと」や「共通の話題」を何とか探りあって、言いたいことを伝えようとする姿勢が感じられ、学校体験の時間を有意義に過ごせている様子でした。
 ランチタイムの終わりを告げるブザーが鳴ると、また一斉にみんな校舎の中に入っていきます。授業中の静けさと、休み時間のにぎやかさの振り幅が、日本よりも大きいように感じられました。今日は6時間目までみっちりと米国式の授業を体験します。
 放課後、バディに連れられて加治木高校用の教室に戻ってきた研修生たちは、「疲れたー」と言いながらも、どこか表情は明るく、バディとのおしゃべりも尽きない様子でした。日本語を学び始めて2〜3年というバディたちでしたが、研修生たちの英語にも劣らない日本語力で、授業中聞き取りに苦労する研修生たちの大きな助けとなったようです。とはいえ、バディの話すネイティブスピードの英語に反応できている研修生もおり、この一日でずいぶんと、「聞き取る力」と、「反応する力」がついたのではないかと思います。最後に、学校の看板の前で集合写真を撮影し、メンロー教会へ戻ります。帰りの車の中で、スザン先生から「どんな一日でしたか?」と質問され、英語で答える研修生たちは、少し自信がついたように見受けられました。次の学校訪問は明後日。今度は、日本で準備してきたプレゼンテーションを披露する一日となります。ホストファミリーとの時間や、明日の終日研修からも、何か「学び」を得て、より自信をつけた状態でプレゼンテーションが出来ることを願います。

3月24日(土)
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2018年3月24日(土)
 まだ肌寒い早朝6時40分、鹿児島空港に、第二回加治木高校海外短期研修の参加者10名とそのご家族が集まりました。1月から実施していたMNCCによる事前オリエンテーションに加え、学校の先生方やALTの先生との準備を重ね、いよいよ迎えた出発の日。研修生たちの表情は、緊張と興奮が入り混じり、少し興奮した様子で、互いに声を掛け合っていました。春休み初日ということもあってか、空港内は大きな荷物を持った人でいっぱいで、受託手荷物預けのカウンターには、長い列ができていました。
 7時過ぎには全員が搭乗手続きを完了し、校長、教頭をはじめ、見送りに来てくださった先生方と、ご家族の皆さんに向けて、出発の挨拶をしました、校長の原口先生より激励のお言葉をいただき、研修生としての責務とここまで支援してくださった方々に対しての感謝の気持ちを再確認できました。セキュリティゲートを通過するところまで、先生方に見送っていただき、午前8時05発の全日空620便で、まずは羽田空港を目指します。
 不安定な春の空模様も、研修生の旅の始まりを祝ってくれるかのような晴天で、機内からは富士山を見ることのできた研修生もいました。定刻通り、飛行機は羽田空港に到着しました。スーツケースを受け取り、今度はバスで成田空港を目指します。午前10時30分発のリムジンバスに乗り込み、つかの間の東京見物です。車窓からは、お台場やスカイツリー、ディズニーランドを見ることができます。交通量は多いながらも、渋滞にはまることなくバスは順調に成田空港に入りました。搭乗する国際線はユナイテッド航空。第一ターミナル南ウィングでバスを降ります。
 あまりにも順調に進んだおかげで、航空会社の受付開始時間までにまだ余裕があったので、20分程の自由時間を設けました。時間厳守で戻ってくることを伝えて解散しましたが、全員見事時間ぴったりに戻ってきてくれました。搭乗券とスーツケースにつけるタグを、チェックインの機械で発券し、タグはそれぞれ自分で貼り付けます。そしてスーツケースを預け、セキュリティーゲートへ進みます。
 リュックの中に、缶詰に入った桜島の火山灰を入れていた生徒がおり、持ち込みにおいては全く問題ないのですが、(係員)「灰ですか?」(研修生)「はい。」(係員)「はい。大丈夫です。」という、そばで聞いていると笑ってしまいそうになる会話が繰り広げられていました。
 出国審査もスムーズに通過し、待合フロアで飛行機の搭乗開始を待ちます。17時45分発のフライトまで、十分に時間があったので、この時間を使って、現地の学校で行うプレゼンテーションの資料確認を行いました。プレゼンテーションは、自分の興味のあることや、鹿児島にまつわるもの、日本文化に関することなど、それぞれにテーマを定め、学校の先生方にご指導いただき、準備を行っていました。自分が撮った写真や探してきた画像を盛り込んだスライドを作成し、実際の発表に備えます。残った待ち時間では、春休みの課題に励む姿があり、研修生ならではの苦労が垣間みられました。
 午後17時、搭乗が始まります。米国入国時に必要な書類を配布し、機内での注意事項を再確認してから、飛行機に乗り込みました。乗客の半分以上が外国人という機内の様子に、すでにアメリカに来たような不思議な気分になります。米系航空会社ということもあり、「初めての英会話だ!」と、外国人CAとの会話に期待していた研修生でしたが、日本語を話しかけられることがほとんどだったようです。“チキンカツカレー”or“クリームパスタ”の機内食に、バニラアイスのデザートまでいただき、機内は消灯。時差ぼけ防止のために、ここでしっかりと睡眠をとります。気流の影響か、9時間20分が予定であった飛行時間は大幅に短縮され、約8時間半後にはサンフランシスコ上空にいました。朝食となる機内食は“焼きそば”か“オムレツ”。滑走路が混雑していると機長からのアナウンスがあり、15分程旋回したのちに、ようやく着陸態勢に入りました。途中、大きな揺れを感じることもありましたが、体調を崩す研修生はおらず、10名全員元気にアメリカに到着することができました。
 飛行機を降りたら、本日の山場の一つ、入国審査へ進みます。日本からの同じ便に、他のホームステイに参加をする中高生グループが乗っており、税関職員の方々も、慣れた様子で、日本人生徒たちに片言の日本語で話しかけてくれました。「滞在期間は?」「同行者がいるのか?」などといった英語での質問に対して、研修生たちは緊張した様子を見せながらも、しっかりと受け答えできていました。私が最後に審査を終え、手荷物受取場に進むと、先に到着していた男子生徒たちが全員分のスーツケースをまとめておいてくれました。頼もしい限りです。ここでよく起こりがちな、スーツケースの破損やスーツケースベルトの紛失といったトラブルに見舞われることもなく、万事順調に進むことができました。
 いよいよ、現地でのコーディネーターを務めてくれるSuzanne先生とのご対面にドキドキしながら到着口を出ましたが、ここでトラブル発生。出迎えてくれるはずのSuzanne先生がいない!搭乗便の到着時間が早まったこともあったので、ひとまず待つことにしたのですが、10分経っても15分経っても現れず。しびれを切らして電話をしてみたところ、すぐに応答し、「渋滞に巻き込まれて到着が遅れてしまった。あと15分程で着く。」とのこと。グループの移動があまりにも順調に進んだおかげか、成田でもサンフランシスコでも、”待ち時間”に恵まれた一日です。
しばらくして、Suzanne先生が”Sorry, sorry!”と謝りながらやってきました。一人ひとり自己紹介と握手を交わします。ホストファミリーがどのような方々なのかを説明してくれました。弁護士、グローバル企業で働く方、スタンフォード大学の職員等、サンフランシスコ近郊という大都市エリアならではの生活を営む方々のようで、ますます対面が楽しみになってきました。
手短に到着オリエンテーションを終え、バス乗り場へ進みます。マイクロバスもドライバーも、日本のそれよりも一回り大きく感じます。高速道路の標識も、遠くから見ても大きい!さっそくカメラを構えて、「アメリカの風景」を切り取っていきます。昼食をまだ食べていない研修生のために、Menlo Parkに向かう途中にある、「IN-N-OUT」というハンバーガーショップに立ち寄りました。カリフォルニア州でしか展開していないこのバーガーチェーンは、アメリカ人にもとても人気で、店内はたくさんの人で賑わっていました。初めてのアメリカでの買い物。財布の中のドル紙幣を確認、注文するものを呪文のように唱えながら、列で待ちます。忙しそうでしたが、日本人生徒たちにも優しく対応してくれる店員さんたちの笑顔に、ほっとしました。注文した商品が出来上がるとレシートの番号で呼ばれるスタイルは日本と同じですが、英語でアナウンスされるため、聞き逃したり間違ったりしてしまいます。聞き取りに集中する傍ら、隣で待つ一般の方に「どこから来たの?」と声を掛けられる研修生もおり、騒がしい店内の様子に、旅の疲れも吹き飛びました。日本のものよりも厚みのあるアメリカのハンバーガーで、お腹を十分に満たすことができたようです。
 30分程高速道路を走ると、洒落た造りの建物が並ぶMenlo Parkの街に入りました。今回の研修の拠点となる、メンロー教会に到着すると、研修生を待つホストファミリーの姿が見えます。車内から大きく手を振る研修生たちに気づき、バスに近づいてきてくれました。Suzann先生のご主人であるJim先生が、ウェルカムパーティーの準備をしながら待っていてくれました。鹿児島を出発してから約24時間。ようやく待ちに待ったホストファミリーとのご対面です。一人ひとり自己紹介をし、Suzanne先生がホストファミリーを紹介してくれます。全員のマッチングが終わると、用意されていたケーキを食べながら、歓談の時間となります。思いのほか、自然な様子でホストファミリーと話している研修生たち。ALTの先生との練習の成果をさっそく発揮できているようでした。「音楽が好き」「陸上が得意」「ピアノが弾ける」といった研修生の自己紹介を受けて、自分がホストする生徒ではない生徒にも、ホストファミリーが話しかけてくれます。ホストファミリーにとっても、このプログラムは、研修生との出会いの場であり、ホストファミリー同士の出会いの場でもあります。社交的なアメリカ人の姿を、ぜひ研修生のみんなにも真似していってほしいと思います。最後に、“America the Beautiful”という、国歌に並ぶアメリカの伝統的な歌を、ホストファミリーの皆さんが歌ってくれました。
 明日は日曜日なので、活動はお休み。ホストファミリーたちは、それぞれに研修生を連れ出したり、家で過ごしたりと、計画を立てている様子でした。月曜日の朝は、7時45分に集合です。このお休みで旅の疲れをとり、元気に登校してくれることを願います。

 

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