シアトルへの終日研修の日。朝8時15分にコロンビアホールという公民館のような場所に集合し、シアトルへ向かうことになっていた。バスの到着を待っている間、シアトルでの注意事項を生徒たちへ説明した。一番大事なことは、「絶対に単独行動をとらないこと」。これを生徒たちに強調して説明した。その後は、さよならパーティーについて少し話をすることができた。いよいよ明日がパーティーである。今までお世話になったホストファミリーやアメリカ人先生方に感謝の気持ちをこめて、生徒たちが主体的に行うパーティーなので、ぜひとも成功させたい。
そうこうしているうちに、バスが到着し、私たちはシアトルへ向けて出発した。シアトルに入ると生徒たちは、バスの窓から町並みの写真を何枚も撮っていた。シアトルでは、まず、パイクプレイスという、様々なお店が集まっている場所へ行った。そこには、野菜、果物、鮮魚、肉、衣類、工芸品、絵画、アクセサリー、ジャム、本屋、花屋などなど、商店が並んでいた。映画「めぐりあえたら」のワンシーンが撮影されたカフェもあり、シアトルでも有名な場所のようだ。生徒たちは、3つのグループに分かれ、それぞれに大人がついて、見て回った。魚屋では、お客が魚を購入すると、店員が魚を放り投げるパフォーマンスを見せてくれることで有名だそうだ。店員の男性に、「魚を投げてくれる?」と聞くと、「誰かが魚を買ってくれたらね。」とウィンクして答えた。そうしたら、私たちが見学している間に、誰かが魚を購入し、店員が何か歌い文句のようなことを言いながら、魚を放り投げていた。そこにいた人たちは、パシャパシャと写真を撮っていた。魚をつかみ損ねることはないのだろうか。とても慣れた手つきで、あざやかにパフォーマンスを行っていた。また、このパイクプレイスには、何ヶ所かに、いろいろな色の豚の置物が置いてあり、これも一つの名物になっているようだった。魚屋の前に置いてあった、金色の豚と一緒に写真を撮った。何となくご利益がありそうな気がした。豚の置物の近くに、下に降りる階段があり、そこを降りていくと、Gum Wallという場所があった。文字通り、そこには、いろいろな色のガムが壁にくっつけられていた。誰が始めたのか分からないが、ものすごい数のガムが壁に付けられていた。噛み終わった後のガムもこれだけ集まれば、観光スポットになってしまうのだから、驚きを通り越して感心してしまう。
パイクプレイスの後は、シアトルのランドマークである、スペースニードルがあるシアトルセンターへ向かった。まずは、グループの全体写真を撮影して、フードコートでお昼を食べた。お弁当を持ってきていない生徒は、ここでサンドイッチやピザなどを買って、みんなで食べた。今日の終日研修にも、ホストブラザーやホストシスターがたくさん参加してくれていたので、日本人生徒たちも彼らとさらに仲良くなったようだ。午後からは、ワシントン大学の見学に行った。広い敷地内には、ヨーロッパで見るような古い伝統的な建物が建っており、キャンパスを歩くだけで楽しかった。大学内を、大学2年生のマットさんが案内してくれた。この大学内のツアーには、私たちだけでなく、アメリカ人の方々も参加しており、9月の新学期からこの大学に入りたいと考えている人たちが、見学するためだそうだ。マットさんは、見た目がアジア系の方だったのだが、やはり日系4世のアメリカ人だそうだ。日本語を少し話すことができた。マットさんの説明によると、この大学では、42,000人の学生が学んでいるそうだ。大学には、美容院や銀行、本屋、カフェテリア、レストランなどもあり、大学院生の図書館には、世界で一番大きな本が、ガラスケースに入れられて飾ってあった。月に1度ページをめくるらしいので、毎月来れば、本の内容を読むことができる。日本人生徒の中には、アメリカの大学に通いたいと言っている生徒もいた。マットさんは、最後まで私たちに付き合ってくれ、大学のグッズや文房具、本を売っているお店に案内してくれ、最後にそこを見学した。店内には、ワシントン大学のロゴが入った、トレーナーやTシャツ、トレーニングパンツ、帽子なども売っていて、全て紫色だった。この大学のスクールカラーなのだろう。私たちは、マットさんに別れを告げ、バスに乗り込み、オリンピアへの帰路についた。明日は、あっという間にさよならパーティーの日である。全員でベストを尽くして、成功させようと思う。 |