学校初日です。昨日ホームシックだった子も元気に登校してきました。一安心です。今日からホストブラザーやホストシスターと一緒に、スクールバスで登下校する子たちが4名います。タロウ、ミサト、ミオ、それにタツアキです。フウガとサツキとユウシンはホストファミリーに車で送ってきてもらいました。昨日の夜はちゃんと眠れたか尋ねると、夜中に起きてしまって二度寝した子はいましたが、時差ぼけの子はいないようです。
今日の午前中は、8時から私たちのホームルームである図書室でオリエンテーションです。最初にこれからの毎日の授業で机の上に置くネームプレートを作りました。このネームプレートの片面にはローマ字で、もう片面には漢字で自分の名前を書いたのですが、片面は漢字で書いたらどうか、というのはミオのアイデアです。そのネームプレートを机の上に置くことによって、先生はもちろんのこと、アメリカ人のクラスメートも自分たちの名前を覚えて読んでくれることでしょう。そして、英語の歌「If You're Happy」をみんなで練習しました。これから毎日練習して、サヨナラパーティーでも歌う予定です。昨日途中までしかできなかったIDカードの記入をすませてから、ホームステイを成功させるためのいくつかのエッセンスを教えてもらいました。例えば、ホストファミリーから何かしてもらったら、どんな些細なことであっても「Thank you.」と言う。誰か手助けが必要そうな人がいたら、「May I help you?」と聞いて手伝ってあげる、ということなどです。他にもアメリカで言うところのVolunteerがどういう意味なのか辞書を引いたり、授業中など積極的にVolunteerして発言したらデイナ先生からチケットをもらえ、そのチケットが一日に4枚たまったら、先生の用意した「お楽しみ袋」から何か一つ好きなものを選んでもらえる、というルールを決めたりしました。最初はだまっていた子たちも、チケットを集めるために、必死にデイナ先生に質問するなどしていました。そして最後に、「TGIF=Thank Goodness It's Friday(週末が明日に控えている金曜日に、その幸せな気持ちを表す言葉)」を覚えて、TGIFをホストファミリーに言って、その反応を見る、ということが宿題になりました。
午前中の授業の途中でSnack Recess(スナック・リセス)と言って、15分間の休み時間がありましたが、「外で遊んでいいよー」と言うと、みんな元気よく外に飛び出して行きました。日本の子どもたちが縄跳びを始めると、すぐにそこに人だかりができ、日本とアメリカの子が一緒に長なわとびで遊ぶ光景がみられました。日本の子たちほど、アメリカの子どもたちは縄跳びが上手くないので、縄をまわした状態で次から次に縄の中に入ることができません。そこで、子どもたちなりに遊び方を考えたようで、縄をとめた状態でアメリカの子どもたちが縄の中心に入り、その状態から縄をまわし始めます。そして、その後日本の子どもたちが縄の中に順々に入っていく、という遊びをしていました。子どもたちは言葉の壁など、なんのその。ちっとも気にせず、一緒に楽しく遊んでいました。そういえば、この休み時間にはお菓子を食べてよいのですが、ユウシンは日本のお菓子を「これいる?」と日本語で言いながら、アメリカの子たちに差し出していました。アメリカの子たちも、日本語で話しかけられているのに、普通に「Thanks」と言って受け取っていました。このやりとりの中には、言葉の壁などないようです。
11時5分からは昼食です。ホストファミリーからランチを作ってもらって持ってきている子もいれば、カフェテリアの「Hot Lunch」を食べる子もいました。この「Hot Lunch」は、毎日メニューが違っていて、今日はピザの日でした。昨日の夜もピザパーティーで食べたので、二日連続です。でも、子どもたちはピザが好きなので、気にならないようでした。中年の私の胃袋には少しこたえましたが…。この学校の「Hot Lunch」にはサラダバーもついていて、野菜や果物を好きなだけとることができます。飲み物は牛乳とチョコレートミルクから選べます。通常は1食3ドルなのですが、校長先生からのプレゼントということで、日本の子たちは無料で食べさせてもらっています。学校で授業を受けさせてくれるだけでなく、Tシャツや給食など、本当にありがたいことばかりです。最初は、日本の子たちだけで座っていましたが、「せっかくアメリカに来たんだから、アメリカの子たちの中に入ったら?」と一言声をかけると、「だよねー」と言いながら、さっさとアメリカの子たちの中に入っていきました。行動力はすばらしくある子たちです。ランチが終わると昼休みで、みんな、また校庭に飛び出していきました。今度はアメリカの子たちとバスケをしていたようです。休み時間が終わると、非常ベルのような音のブザーが鳴ります。そのブザーが鳴ると、みんなピタッと静止して、先生たちから声がかかるまでは動いてはいけません。そして、自分の担任の先生の前に一列にきれいに整列して、各クラスへ戻っていきます。私たちのグループもデイナ先生の前に並んで、図書室へ戻りました。
そうそう、今日はSpirit Dayだったので、私たちは1人忘れてきていた子を除いて全員が緑の服を着ていきました。アメリカの児童たちも、学校内でクラス対抗の競争(クラスの児童の何%が緑色の服を着てきたかを競いあい、毎月一番%の高かったクラスにはご褒美としてアイスクリームが配られるそうです)があるそうで、緑の服の子たちも多くみかけました。緑の服を着ていなくても、緑色のネックレスをして愛校心を表している子たちもいました。
さて、ランチが終わると、まず学校の中を見てまわりました。先生たちがランチを取る部屋、というのもあって、特別に中に入らせてもらって、ランチ中の先生と記念撮影までしました。私たちが校内を見てまわっているのを知った3年生の先生が、自分のクラスの中を見ていいよと言ってくれました。「ものすごくちらかっているから」と言われて中に入ったものの、あまりのすごさに、みんな「日本じゃありえなーい」と言っていました。教科書やノートなどが床にちらばり、足の踏み場もないとは、こういうことを言うのかもしれません。先生曰く、「掃除の途中」だったそうですが、それが本当であったことを祈るのみです。
校内の見学の後はフォレストヒルの町の散策です。まずは、消防署です。消防署へ行く途中のレストランバーの中にゴールドラッシュ時代に使われていた金を掘る道具などが展示されていたので、それも見せてもらいました。消防署に着くと、5人の消防士さんが迎えてくださり、消防車や救急車の設備の説明や、寝泊りをする消防署の室内を案内してくれました。常時4人は待機しているとのことで、ベッドは6つ置いてありました。キッチンやお風呂やリビングルームまであり、夜勤などでも快適に過ごせそうな場所でした。それに、実際の消防服を着せてもらうこともできました。一番に手を挙げたのはミサトとサツキ。二人は消防服を着せてもらい、嬉しそうにしていました。そう簡単にはできない貴重な体験です。「着たい人?」と聞かれたときに、全員が「ハイ!」と手を挙げるような積極的な姿勢がみられるようになるといいなと、その時は感じましたが、後から「消防車に乗せてあげるよ」言われた時には、全員が消防車に乗るためにステップをよじ登っていったので、少し安心しました。サツキは積極的に消防士さんに質問をしていました。アメリカの人たちは質問されるのが大好きなので、みんなから、どんどん質問が出てくるといいなと思います。
消防署の後、博物館の前を通って(博物館の前には昔の牢屋や、ゴールドラッシュの開拓時代に金鉱山で使われていた大きな道具が置かれています)公園へ行きました。公園には遊具があり、10分だけという約束で遊ばせると、全員でおにごっこをしていました。みんな、昨日会ったばかりなのに、もうずっと前から知っている仲間のように打ち解けています。公園からしばらく歩いて、アメリカの墓地まで行きました。フェンスが張られていて、許可なしでは立ち入ることができなかったので、フェンス越しに見ただけですが、日本のお墓との違いにみんな驚いていました。墓地から学校へ戻り、ホストファミリーが迎えに来るのを待ちました。一人、そしてまた一人、という具合でホストファミリーが迎えにやってくるのですが、みんな昨日会ったばかりのホストファミリーのはずなのに、昔から知っていたように、普通に車に乗って帰っていく姿はとてもたくましく感じました。明日から二日間の週末です。スキーに行く子、ボーリングに行く子、ホストシスターのバースデーパーティーが家である子と、過ごし方はさまざまですが、みんな元気に楽しく過ごして、その話を月曜日に聞くのが楽しみです。
と、ここまで書いたときに、電話が鳴りました。昨日ホームシックだった子のホストファミリーからです。その子は、電話口で「お母さんに会いたい」と泣いていました。励ましましたが気になったので、その子のステイしている家まで行って、ホストファミリーやその子と話をしてきました。ホームシックは自分との戦いです。ホストファミリーもとても協力的で暖かい家族なので、きっと週末に楽しく過ごせば、ホームシックもどこかへ行ってしまうと思います。(そう願っています)