ホームステイの様子を写真、動画、文章レポートでお届けします。 |
2010年アカデミックホームステイ |
引率者からのレポートです。
期 間 |
更 新 日 |
7月30日(金)〜8月06日(金) | 8月10日 |
8月09日(月)〜8月13日(金) | 8月16日 |
8月14日(土) | 8月18日 |
8月16日(月)〜8月17日(火) | 8月25日 |
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8月1日(日) |
今日は夕方5時からホストファミリーやの先生方が生徒たちのためにウェルカムパーティーを開いてくれた。ファミリーがそれぞれ手料理を持ち寄ってのポットラックパーティーだった。緑がいっぱいの公園で美味しい手料理をいただきながら、生徒たちに週末の様子を聞いた。ホームシックにかかっている様子の生徒は少なく、一安心。「他人の家の冷蔵庫を勝手に開けることに抵抗があります・・・」、「ホストマザーから、『日本へメールしてもいいよ』って言われたけど、ホームシックになりそうだから断りました!」などいろんな話が聞けてよかった。食事の後はテリー先生が生徒たちを集めて、アメリカ版『ハンカチ落ちし』(?)というゲームを教えてくれた。ホストブラザーたちも一緒になって楽しんでいた。生徒たちのステイをボランティアで引き受けてくださっている上に、このような素敵なパーティーまで計画してくださり、本当にありがたいことである。これから、滞在中に自分たちがホストファミリーに何をしてあげられるかを考えていきたい。そしてこのホームステイプログラムが自分たち、ホストファミリーにとって充実したものになるように積極的に活動していきたい。 |
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8月3日(火) |
学校2日目。今日は午後からCalaveras Big Treesへの半日研修が予定されている。湿度は低く雲一つない青空で、最高の遠足日和だ。午前中はAAのキャシー先生が来られて、自己紹介とアメリカでのホームステイを成功させるためのキーワード(Smile, Thank you, Volunteer)について説明をしてくださった。途中、スキットも取り入れながら説明してくれたため、生徒は頷きながらよく聞いていた。授業後にキャシー先生から「今まで一番雰囲気の良いグループだ」と褒めていただき、このメンバーをとても誇らしく思った。その後は、2クラスに分かれての授業で「LとR」の発音練習や、「TH」の音の作り方を練習した。生徒たちは口の形や舌の位置に悪戦苦闘しながらも、少しでもネイティブの発音に近づけようと必死に練習していた。授業時間を使って、グループAのメンバー6名の個人面談も行った。大半の生徒が、ホストファミリーとの生活に慣れてきて滞在を楽しんでいるようだった。 授業の後は、それぞれホストファミリーやTCの先生の車に乗ってCalaveras Big TreesのあるArnoldという町へ向かった。1時間ちょっとの移動だったが、生徒たちはみんなウトウトしていた。Calaveras Big TreesではTCのテリー先生がガイドをしてくれて、一同話を聞きながら、約1時間のウォーキングを楽しんだ。このBig Treesと言われているのはRed Woodという種類で、木の皮が厚く、火事などでも燃えないそうだ。樹齢2000年とかなり古い。ここには昆虫も多く、昨年は新種のカブトムシがここで発見されたらしい。到着地点にはギフトショップと博物館が併設されており、熊やリスの剥製が展示してあった。生徒は写真を撮ったり、お土産のポストカードを買ったりと忙しそうだった。疲れた様子の生徒も多かったが、ウォーキングをしながらホストファミリーや他県からのメンバーと打ち解けたようで、何よりだった。解散前に、明日のサンフランシスコ1日研修にあたっての注意事項が伝えられ、持ってくる物の確認をした。集合時間は7時半。BIG DAYになりそうだ。 |
8月4日(水) |
今日はサンフランシスコへの終日研修だ。生徒たちはこの日を心待ちにしていたようで、朝7時半集合だったにも関わらず、バスの中ではトランプをしたり、おしゃべりをしたりして過ごしていた。3時間かけてサンフランシスコへ到着した。バレースプリングスの景色に慣れていたので、高層ビルが立ち並ぶ景色に皆圧倒されていた。町全体を霧が覆っており、気温は想像していたよりもはるかに低かった。冷たい風が吹き付ける中、約1時間かけてゴールデンゲートブリッジを歩いて渡った。橋は、霧の都に映えるオレンジ色で、建設当時は橋の名前にちなんで金色にするとか、灰色、または黄色と黒のストライプにするなど数案あったようだが、霧の中でもはっきり見えること、周囲の色とのコントラストが美しいとの理由で、橋の色はオレンジに決定されたそうだ。塗り替え作業は約40人の塗装工で行われ、塗装日数は約48日間で、週に2トンのペンキが使われるそうである。橋を渡った後は、公園でランチを食べた。この公園にはいろいろな国の珍しい植物がエリアごとに植えられていて、グループに分かれてScavenger Huntというゲームをした。あらかじめテリー先生が作ってくれたワークシートに「Q. 匂いのする葉っぱを持つ植物をみつけなさい。それはどんな匂いかも書きなさい」といったようなお題が書かれており、生徒たちは公園中を歩きながら、お題にあう植物を見つけなければならない。植物を見つけては、葉っぱを触ったり、匂いを嗅いだりして生徒たちは楽しんでいたようだ。その後、一同はピア39という観光スポットへ。ここにはレストラン13軒、ブティックやギフトショップなど約110軒が軒を並べていて、ものすごい数の観光客であふれていた。集合写真を撮った後はそれぞれ自由行動で、ショッピングや食事を楽しんでいた。集合時間には全員が遅れることなく集まり、手には日本の家族やホストファミリーへのお土産がたくさん握られていた。帰りのバスでは、買い物をしたものを見せ合ったり、窓から見える景色を写真に収めたり、だんだんと仲良くなってきた他県からのメンバーと話し込んだりと、皆はしゃいでいる様子だった。途中、疲れのためか体調を崩す生徒も出たが、生徒31名とホストファミリー一行は無事に学校のあるサンアンドレアスに戻ってきた。到着したのは夜の10時前であたりは真っ暗だったが、それぞれホストファミリーが生徒を迎えに来てくれていて、解散した。今日の出来事をホストファミリーに話すことで、会話も弾むことだろう。 |
8月5日(木) |
今日は9時に学校へ集合してから、Mark
Twain Convalescent Hospitalを訪問した。病院と老人ホームが併設されており、生徒たちは浴衣に着替え、日本から持ってきた折り紙で鶴を折ったり、けん玉を披露したり、最後に全員で「上を向いて歩こう」を歌ったりして、日本の文化を紹介した。始めは、お年寄りの方たちとどのように接していいか戸惑っている様子の生徒もいたが、作った折り紙をプレゼントしたりしてコミュニケーションをとっていた。どの生徒も日本の文化を伝えようと懸命に英語を話していた。その後は、道路を挟んで反対側にあるCalaveras
Countyの群保安官部を見学させてもらった。中には拘置所があって、実際に犯罪を犯した人たちがどのような過程を踏んで独房に入るかの説明を受けた。独房に入れられるまでには最低3回電話をかけられるらしい。もしその犯罪者が危険人物だとみなされた時は、Safety
Room でSafety Gownという服を着せられるらしく、実際にその服を見せてもらったりした。65名の囚人を収容できるらしく、現在は満杯だということだ。犯罪者の数に対して、独房の数が少ないということで、現在240名留置場を収容できる新しい建物を設計中のようだ。設計図まで見せていただいた。監視しているモニターに囚人の姿が映ったりして、生徒たちは少し緊張していたようだ。緊急番号の911を受けるコントロール室にも入らせてもらい、実際に住民から911コールがあったときにどのように保安官を派遣するかの説明をしてもらった。「こんなところまで見せてもらっていいんだろうか・・・」と心配と興奮の入り混じった複雑な気持ちでこの場を後にした。生徒たちは、保安官からピンバッチをもらったり、保安官の写真入りのカード(名刺のようなもの)をもらって感激していた。午後は、学校へ戻り授業だった。昨日の一日研修の疲れと午前中の活動の疲れで、いつもの元気がない生徒が多かった。しかし、クリス先生の旦那さんがアイスクリームの差し入れをしてくれてから、いつもの元気が出てきた。いろいろと気遣っていただいてありがたいことである。明日はBake
Sale(フリーマーケットのようなもの)で、生徒が日本から持ってきたものを売る日である。女子の数名が積極的に看板作りを申し出てくれて、やる気十分だ。 |
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8月10日(火) |
今日はカリフォルニアの州都サクラメントへの終日研修の日だ。この日を心待ちにしていた生徒も多く、いつもより1時間半も早く学校へ集合したにも関わらず、皆元気いっぱいの様子。約1時間半かけてサクラメントの街へ入ると、最初の目的地のカリフォルニア州議事堂が見えてきた。初めて目にする州議事堂に皆バスの中からカメラを向けていた。記念撮影をし、いよいよ中へ、と思ったら、玄関前に見学者の行列ができている。自分たちの番になってわかったが、州議事堂の中に入るにはかなり厳しいセキュリティーチェックが行われていた。空港のようにX線によるチェックがあり、身につけているベルトなどの金属類を外し、生徒たちは緊張した面持ちでゲートをくぐっていた。議事堂の中は見学者であふれており、生徒たちはグループごとに建物内を見学した。カリフォルニア州知事であるアーノルド・シュワルツネッガー氏は本日不在ということで、一緒に写真が撮れるかもしれない、と期待していた生徒は(私を含め)少しがっかりしていた。この建物内では、スーツ姿の人が目立った。聞くと、ここで働いている人たちであるとのこと。スーツ姿のせいか、サンフランシスコで見た人たちよりも洗練されており、ブリーフケースを持って忙しそうに歩いていた。3階には立法部議会があり、40人から成る上院議員と80人から成る下院議員により州の法律が作られるそうだ。実際に議会室も見学でき、議員たちが座る椅子を上から見下ろすことができた。議会が開かれているときも、一般の訪問客のために議会室・通廊は公開されていて、訪問客は中に入って法案成立過程を傍聴することができるということだった。
見ごたえたっぷりの州議事堂を後にして、いろいろな慰霊碑が建てられている公園へ移動した。途中、馬に乗ってパトロールしている警察官に会い、馬をなでたり、一緒に写真を撮らせてもらった。アメリカでは皆フレンドリーで優しい。公園には、消防活動で亡くなった消防士の慰霊碑、ベトナム戦争で亡くなった兵士の慰霊碑などがあった。その後、近くの広場でクリス先生が生徒一人一人の顔写真を撮ってくれた。さよならパーティーの際に、ホストファミリーにお礼として渡すプレゼントに使うということだった。 その後はバスでオールドサクラメントと呼ばれる場所へ移動した。ここには、古き良きアメリカの建物が並んでおり、それが店になっている。記念撮影の後、生徒たちは解散し、約2時間半の自由行動となった。それぞれ、自分の行きたい所でランチを食べ、ショッピングを楽しんでいた。サンフランシスコではなかなかうまく買い物ができなかった生徒も、ここでは計画的にお土産を買うことができたようで良かった。バスで学校へ戻ってからホストファミリーのお迎えが来るまでの間、自分たちが買ったお土産の見せ合いっこで盛り上がっていた。女の子たちが家族一人一人に買ったお土産を見せ合っているそばで、男の子たちがジョークショップで買ったペン(触ったら電気が流れるようなおもちゃのペン)で遊んでいる姿が対照的で面白かった。 |
8月11日(水) |
今日は半日研修でKennedy Mineへ。ここではまずカリフォルニアの歴史について話をしてもらった。カリフォルニアの歴史は1542年に現在のサンディエゴにスペインの探検家が到着したことから始まった。スペイン統治下の後、メキシコに併合、1846〜48年の米墨戦争の後、メキシコからアメリカに割譲された。1848年にサクラメント周辺で金鉱が発見され、ゴールドラッシュにともなって急発展を遂げた。1850年にアメリカ合衆国の31番目の州として成立した。ここでは、描かれている星の数が34個しかないアメリカ国旗を見せてもらった。(現在の国旗はアメリカの州と同じ数の50個の星が描かれている)生徒はその国旗がいかに古いものかを知って驚いていた。生徒たちは、オールドラッシュ初期の、川底から金を採取するという体験をさせてもらった。どの物質よりも重いという金の特徴を生かして、皿に入った砂を何度も水中に出し入れして、余計な石や砂利を取り除いていた。採取できた金は小さな瓶に入れてお土産にしていい、ということで皆真剣に取り組んでいた。このKennedy Mineはカリフォルニア州で一番深いところにある金鉱だ。ここでは当時一日に200人もの人たちが働いていたそうだ。彼らはシャフトを使って地下2000メートルまで降り、金を含んでいる石英という石を削り、地上へ運び上げていた。石英を削る時は、ダイナマイトを使用していて、とても危険な作業であったようだ。実際この金鉱では36人が事故で命を落としたという。地下2000メートルはとても状態が悪く、暗闇を照らすために何百本ものろうそくを使ったそうだ。鉱夫たちは酸素の状態を確かめるために、籠に入れたカナリアを持ち歩いていたということだ。このような状態で一日8時間労働、週7日勤務、休めるのは独立記念日(7月4日)とクリスマスだけだったというから大変だ。当時の鉱夫たちの写真が残っていたが、誰一人笑顔ではなかった。1914年に撮られた当時の映像も見せてもらい、約100年前の様子に一同見入っていた。
充実した研修を終え、学校でランチ、その後はサヨナラパーティーについての話し合いをした。始めに、帰国まであと6日になった今、悔いのないステイにするために、ただ何となく過ごすのではなく、改めて自分の目標を思い出し、積極的に行動することが大切であることを伝えた。そして今までお世話になった全ての人たちに感謝の気持ちを伝えられるように、サヨナラパーティーを成功させようと約束した。話し合いでは皆が積極的に意見を出し合い、いろいろなことがすんなりと決まっていった。生徒全員のホストファミリーへの感謝の気持ちが伝わってきて、とても嬉しかった。改めて、このメンバーのことが大好きになった。約2週間前に初めて会ったばかりのメンバーだが、このアメリカという土地で共に助け合い、共に学ぶことで、とてもいい集団になってきたと思う。帰国したら皆離れてしまうことを考えると目頭が熱くなってしまう(年のせいだろうか・・・)が、メソメソしている暇はないので残された日々を精一杯充実したものにしていきたい。 本日最後の2時間は、ネイティブアメリカンのフレッド先生による、実習だった。実習内容は2種類で、最初のグループは、木の枝から紐を作るというものだった。まず木の皮をバッファローの骨を使って削っていき、最終的には木の繊維だけを残し、それをひねりながら紐にしていった。フレッド先生は20年の経験があるのでとても簡単そうにこなしていったが、生徒たちは最初の過程から苦労していた。後半のグループは、ソープストーン(石けん石)と呼ばれる石けんのような感触がある石をやすりで削って、ビーズを作る作業をした。ビーズに紐を通せるように、火をおこす道具に似た道具を使って真中に穴をあける作業が難しそうだったが、1時間後にはきれいな丸いビーズに仕上がっていて、生徒たちは満足そうだった。またいいお土産ができて良かったと思う。いろんな実習を用意してくださって感謝感謝である。 |
8月12日(木) |
今日は久しぶりに終日学校で過ごした。午前中は、ホストファミリーへ贈る、生徒の顔写真入りのフレームの飾り付けをした。アルファベットのステッカーなどを使って、生徒たちはそれぞれ工夫してデコレーションしていた。その後は、今まで研修等でお世話になった地元の銀行や消防署、警察署、スーパーマーケットにThank youカードを書いた。振り返ってみると、この2週間弱の間にたくさんの場所を訪れ、有難いことに、どの場所に行っても皆さんに歓迎してもらった。生徒たちに少しでも良い経験になるようにと、普段は見られないような場所を見学させていただいたり、体験させていただいたりした。生徒たちも感謝の気持ちが伝わるようにと、グループごとに似顔絵を描いたり、折り紙を貼ったりして、ありがとうの気持ちをいっぱい込めていた。休み時間には、クリス先生が冷たいお茶とスイカを準備していてくれて、皆でいただいた。何から何まで本当に有難い。
昼休みはランチを食べながら、生徒はホストブラザーたちとバスケットボールをしたり、腕相撲をしたり、鬼ごっこをしたりして、皆楽しんでいた。遊んでいるときは言葉の壁はすっかり無くなっているようだ。午後の授業では、ショッピングの時のフレーズや、買い物の仕方、外見(どんな格好をしているか)を説明する練習をした。その後は、発音のルール(サイレントe)について勉強し、習った単語を使ってビンゴゲームをした。TCの先生方は生徒が飽きないように、1つの授業の中でいろいろな仕掛けを用意してくださっていてとても勉強になる。日本に帰ったら、自分のクラスで試してみたい。
授業の最後にサヨナラパーティーの司会者、研修生代表挨拶、全員で合唱する曲について話し合う時間をもらった。合唱曲については少しもめたが、ホストファミリーが皆知っていて、一緒に歌えるアメリカ国歌に決まった。歌詞は英語だし、メロディーもよくわかっていない生徒もいるので明日の練習で彼らがどこまで仕上げられるかわからないが、このメンバーならやれると期待しているので、頑張らせたい。 |
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8月14日(土) |
サヨナラパーティー当日。生徒たちは午前中料理の準備をして、1時に会場となる教会に集合した。それぞれ、ちらしずし、カレー、卵焼き、肉じゃが、コロッケ、トンかつ、生姜焼き、おにぎり、味噌汁など担当になっている料理を作ってきた。日本でたくさん練習してきたせいか、見栄えもよく、とても美味しそうにできている料理を見て、ほっと一安心。パーティーのスタートである2時まで、会場設営、飾り付け、各テーブルのセッティングなどを行った。開始時間となり、司会の生徒2人が開会の挨拶を述べ、サヨナラパーティーがスタートした。第1部は、日本料理を食べてもらいながら、生徒たちが用意したコーナーで折り紙や、習字、そろばんなどを楽しんでもらった。習字担当の生徒たちは、ホストファミリーの名前を日本語で書いたものをネームタグにして渡していた。折り紙コーナーでは、あらかじめ折っていたものを展示して、来てくれたお客さんに折ってほしいものを聞いてからその場で折ってあげていた。そろばんコーナーでは、お客さんに計算式を書いてもらってからその場でそろばんで計算すると、その速さにびっくりしていた。どのコーナーもたくさん人が集まっており、生徒たちもよく動いていた。
いよいよ第2部の時間となり、まずは男子生徒がサッカーボールのリフティングを披露した。次にけん玉の得意な生徒がいろいろと難しい技を披露した。途中、緊張のためか何度か失敗すると、会場から励ましの言葉が飛び交い、最後の技が決まると大きな拍手と歓声がわきあがった。この温かい雰囲気の中で、女子生徒がマジックを披露した。彼女のユーモアたっぷりのマジックで会場が笑いに包まれた。次に、男子生徒が自分の住んでいる町の伝統的な踊りを披露して、続いて女子が2人、日本語で歌を披露した。それぞれが緊張しながらも良く頑張っていた。最後は、生徒全員による合唱だ。大きな声で歌える少し心配だったが、昨日の練習よりもずっと大きな声で気持ちを込めて歌っていた。2曲目のアメリカ国歌は、歌い始めると座っていた会場のホストファミリーたちが全員起立して一緒に歌ってくれた。生徒たちはその姿に驚いていたが、とても嬉しそうだった。 第3部は、スピーチと生徒たちへの終了証書授与だ。生徒代表挨拶では、ホームステイ前半にホームシックにかかった生徒が、辛かったがホストファミリーの優しさのおかげで立ち直ることができた、と感謝の言葉を述べた。終了証書授与の際は、ホストファミリーも一緒に前に出て、生徒から感謝の言葉が述べられた。中には涙で言葉にならない生徒もいて、ホストファミリーに抱きしめてもらっていた。生徒がホストファミリーと一緒にいる姿をみながら、改めて、彼らが生徒たちを本当の息子や娘のように受け入れてくれていたことが強く伝わってきた。この出会いは、これからの彼らとの長い付き合いの始まりだと思う。会場の全員が同じ思いだったと思う。アメリカで過ごせるのもあと2日。ホストファミリーとたくさんの思い出を作ってほしい。 |
8月16日(月) |
いよいよ学校最終日。今日もいつもと同じ9時に集合。学校に着くと、早く来た生徒たちが元気よくバスケットボールをして遊んでいる。この姿も今日までしか見られないかと思うと朝からしんみりしてしまう。授業が始まる前に、再度帰国の準備の際に気をつけることを話した。同時に、全員に目を閉じさせ、アメリカに来る前に立てた自分の目標、自分の達成度はどうだったか、これからの自分の人生の中で今回の経験をどう生かしていきたいか考えさせた。帰国してから「楽しい3週間だった」だけで終わらせないように、明日機内で書く感想文に、生徒が感じたことを具体的に記録させたいと思う。
その後、TCの先生方から生徒へのアンケートが配られ、この3週間の具体的な感想をアンケート形式で記入していった。生徒の回答をのぞいてみると、この研修で一番良かったのはやはりホストファミリーとの時間だったようだ。アンケートが終わると、テリー先生から、このあと訪問するP.A.W.S()についてお話があった。ここは、年をとって動物園を引退した動物やサーカスで長年小さい檻の中で飼われていた動物などを保護し、自然に近い状態で暮らしていけるようにサポートする場所で、約2000エーカーの土地にアジアゾウ5頭、アフリカゾウ4頭、ライオン6頭、トラ22頭が保護されている。どの動物も人間を信用していないので、見学するときは必ず距離をとること、勢いよく近づかない、など動物たちにストレスを与えないための注意事項が伝えられた。ここは一般に公開はしておらず、地元の人でもめったに入れることはないそうだ。どうやらTCのテリー先生がPAWSでの2年間のボランティア活動の経験があったので、今回の研修生たちの見学が可能になったようだ。ホストファミリーたちも、今回PAWSに入れることにとても驚いており、私たちがいかに幸運かを話してくれた。PAWSは私たちが毎日通うマウンテンオークスクールの隣にある。聞くところによると、マウンテンオークスクールはPAWSが敷地を分けてくれてできたのだそうだ。ここでは広大な敷地に動物同士が離れて暮らしているので、生徒たちは車で移動しながら見学ツアーに参加した。実際に会った動物たちはとても愛らしく、柵のすぐそばまで近づいてきて水浴びをしたり、餌を食べたりしていた。ここではボランティアで生徒たちがガーデニングプロジェクトに参加する予定であったが、時間の関係で見学ツアーだけに終わってしまった。めったに入れることのない場所だけに、見学ツアーだけで終わらせるのはもったいない気がした。もし可能であれば、来年度はもう少し時間を延長してボランティア活動まで参加させていただきたいと思った。 学校に戻ってからは、最後のランチを食べ、ホストファミリーが迎えに来ているところは最後の午後を家族水入らずで過ごすために帰って行った。その前に、昨日誕生日を迎えた生徒(なつみ)のために、クリス先生がカップケーキを作ってきてくれていて、みんなでハッピーバースデーを歌った。突然のバースデーソングに、びっくりしていたがとても嬉しそうだった。聞くと、昨日はホストファミリーが彼女のために大きなバースデーパーティーを開いてくれたということだった。一生思い出に残る誕生日になったことだろう。 ホストマザーに運転してもらって家に帰る途中、「学校から家に帰るときの景色を見るのも今日が最後ね」と言われ、目頭が熱くなってしまった。片道40分かかる道のりを、いつも楽しいおしゃべりをしながら運転してくれたホストマザーとホストファザーに感謝をしながら、緑が生い茂る美しい景色を目に焼きつけながら家へ帰った。今夜は、ホストファミリーとの最後の夜だ。生徒全員にとって思い出深いものになりますように。 |
8月17日(火) |
帰国日当日。生徒たちはホストファミリーに連れられて8時に学校集合した。私が到着したころには、大半の生徒がスーツケースをバスに乗せてもらっていた。ホストファミリーと最後のお別れをしながら、最初にこの場所で出迎えてもらった時のことを思い出した。期待と不安でいっぱいの生徒たちを、笑顔で抱きしめてくれたファミリーのみなさん。その時と同じように、「いつでも戻ってきていいのよ」と泣きながら抱きしめてくれた。生徒たちも涙をこらえきれず、声をあげて泣いていた。 今回、このプログラムに参加するにあたってたくさんのことに気づくことができた、と生徒が話していた。まずは、日本では当たり前のように一緒に暮らしていた親、兄弟の大切さだ。自分たちがいかに大事に守られて生きてきたか、に気づかされたという。そしてアメリカのホストファミリーや先生方の優しさ、温かさだ。本当の家族の一員のように、全くの他人である自分たちを受け入れて、愛情を注いでくれた。いつも辛抱強く、私たちを理解しようとしてくれた。生徒一人一人がこのプログラムを通して、保護者をはじめとする、自分を支えてくれている人たちへの感謝の気持ちを新たにし、また英語へのモチベーションを高くしたように思う。 最後に、PAとして、この3週間とても貴重な素晴らしい経験をさせていただけたことを深く感謝いたします。個性豊かな31人の素敵なメンバーに出会えたこと、言葉の壁を越えて共に涙し、笑いあえる友人ができたこと、アメリカに大切な家族ができたこと、全てが一生の宝物になりました。鹿児島、熊本、沖縄、長崎、宮崎、大分、佐賀、東京、長野から集まったメンバーたちが、これから先、活躍してくれることを祈っています。あなたたちと出会えてよかった!! 日本で支えてくださった保護者の皆さま、先生方、南日本カルチャーセンターのスタッフの皆さま、本当にありがとうございました。 |